連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第54話「私、働きます」

水木家

仕事部屋

布美枝「あの… ちょっと ええですか?」

茂「うん。」

布美枝「靖代さんが… あ 銭湯のおかみさんの。」

茂「ああ。」

布美枝「化粧品のセールスをやっていて 3か月ばかり前から マッサージクリームっていって あの こう 顔に塗るやつで…。」

茂「うん。」

布美枝「それを… 私も やろうかと…。」

茂「アッハハハハ ハハハハ…。」

布美枝「何ですか?」

茂「水泳大会の話 描いとったんだよ。 ほれ 『河童』水法で 世界記録樹立だ!」

布美枝「あら 楽しそう!」

茂「子供の頃な 町村対抗で 水泳大会があったんだだ。 町の名誉が 懸かっとったけん 大人も子供も オリンピックより 熱狂しとった。」

布美枝「へ~え。」

茂「俺はな ずっと境港の小学校の 代表選手だったんだ。 算数は零点だが 水泳は1番! 勉強より ずっと 面白かったなあ。 ああ 後で ちょっこし手伝ってくれ。」

布美枝「はい。」

<セールスの事を相談して 茂に止めてもらいたい。 そんな都合のいい事を 期待していた布美枝でしたが… 夢中で描いている茂を見ていると そんな話はできなくなったのです>

居間

布美枝「お金が入るのは 3か月後か…。 描きたいものを描いてほしいし…。 やっぱり 私が なんとかせんと いけん!」

ロザンヌ化粧品営業所

あなたの取り分は 商品価格の2割。 販売額が 1万円を超えたら ボーナスポイントで 取り分が 3割にアップ。」

布美枝「そんなに頂けるんですか?!」

所長「ただし 完全歩合制よ。 売れなければ お金にはなりません。」

布美枝「はい。」

所長「じゃ 早速 回ってみて。」

布美枝「今からですか?!」

所長「幾ら説明聞いたってダメ。 セールスなんてね 実際に回ってみないと 分からないから。 今日は 一緒に回って いろいろ教わって。 明日からは 1人で回ってもらうわよ。 靖代さん!」

靖代「はい。 フフフ…。」

所長「頼んだわよ。」

靖代「はい!」

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