連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第62話「貧乏神をやっつけろ」

居間

美智子「ぷくぷくのほっぺが 先生そっくり。 藍子ちゃんか… いいお名前ね。」

布美枝「はい うちの人が 考えてくれたんです。」

和枝「でも この漢字… ちょっと 難しいんじゃない?」

徳子「あら そうね。 1 2 3 4… あ! 画数が多いと 子供は 名前を書くのに苦労するわよ。」

美智子「いいじゃないの 仮名で書けば。」

靖代「でもさ… 藍子って仮名で書いたら じゃんけんしてる みたいじゃない?」

(一同の笑い声)

布美枝「じゃんけんか… 気づかなかった。」

美智子「布美枝ちゃん 体の調子はどう?」

徳子「産まれて1か月が 一番大変よね。 産んで くったびれてる時に もう 待ったなしで 子育てスタートだもんね。」

布美枝「さすがに くたくたで…。」

和枝「育児書もいいけど あんまり神経質になる事ないよ。 うちなんか 男の子3人 何から 何まで 全部 違ったんだから。」

靖代「子育てはね 参考書どおりには いかないの。 何かあったら うちらに聞きなさいよ。 大概の事は 経験してるんだから。」

徳子「靖代さんの育児経験じゃ ちょっと 古いわよ。」

靖代「あんた 何 言ってんのよ! 昔からの 子育ての知恵って いうのが いいですよ!」

美智子「そうそう! これこれ! 端切で 藍子ちゃんに ちゃんちゃんこ 作ってみたんだけど。」

布美枝「かわいい!」

美智子「あとはね 天花粉でしょ。 それと がんがらとか オモチャ。 私達からの 心ばかりの出産祝。」

布美枝「ありがとうございます!」

靖代「乳母車の余ったのがないか 商店街に 声かけといたんだけど もう立派なのがあんのね。」

布美枝「兄弟達が贈ってくれたんです。 私達じゃ とても買えんです。」

徳子「あれ 最新式でしょ? 全然 昔のと違うんだから。」

和枝「え そうなの?」

徳子「うん。」

和枝「ちょっと 見に行こう。」

徳子「私も行く。」

靖代「私も よっこいしょっと!」

美智子「布美枝ちゃん。 抱かせてもらってもいい?」

布美枝「はい。」

美智子「藍子ちゃ~ん!」

布美枝「藍子。 美智子さんだよ。」

美智子「藍子ちゃん だっこ。 あ よちよち! いい子ね かわいらしい! 子育てって 大変だけど 通り過ぎてみたら 本当に 掛けがえのない 幸せな 時間だったって思うものなのよ。]

美智子「ねえ よしよしよし! オロオロしたり 悩んだりしても みんな 大切な子供との 時間だものねえ。 布美枝ちゃん 頑張ってね。 フフフ! 藍子ちゃん。」

<早くに子供を亡くした 美智子の言葉が 布美枝の胸に染みました>

玄関前

浦木「もう少し 晴れやかな表情 できんもんかなあ。 親子3人 貧しくても楽しく 生きとる姿を写すんだ 笑顔笑顔。 なっ? よし! おい ゲゲ! 俺が何のために わざわざ カメラを持ってきてやったと思う? 写真を 境港へ送れば 老い先 短い お前の両親が 安心するだろうと思ってだな。」

茂「お前の親切には 必ず裏がある。 何を企んどるかと考えたら 笑う気にはなれんのだ。」

浦木「失敬な。 俺は常に 善意と親切心で 行動する男よ。 奥さん その笑顔。 あ~ そこのガキ!」

茂「あ?」

浦木「いや チビ いや お嬢ちゃん その おやじそっくりな ブータレ顔 なんとかならんもんか?」

茂「うるさい!」

(シャッター音)

浦木「ヘヘヘ!」

茂「ほら もう!」

はるこ「記念撮影ですか?」

布美枝「あら! こんにちは。」

はるこ「うわ~! かわいい!」

浦木「こりゃどうも 奇遇ですねえ。」

はるこ「浦木さんも 来てたんですか?」

浦木「ええ。 ゲゲの奴に 『どうしても』と 写真撮影を頼まれまして。」

茂「頼んどらんぞ!」

浦木「ばったり お目にかかるとは こんな偶然も あるんですなあ。」

はるこ「偶然? この前 打ち合わせの時に 『今日こちらに お邪魔する』って 私 お話しましたよね?」

浦木「そうでしたっけ? でも せっかくですから 写真でも 1枚。 向こう行きまちょうね。 どいて どいて! こんな ボロ屋が背景では いささか 趣に欠けますがね。 シャッター 押してくれ。 いや 押して下さい。」

はるこ「私 赤ちゃんと一緒がいいな。」

浦木「それじゃ カメラを持ってきた意味がない。 奥さん お願いします。 シャッター押し…。」

はるこ「浦木さん お願いします。」

浦木「はい。 俺という人間は どうしてこんな 善良にできているんだろうな。 早く並んで! ほら ほら 3人! 早く 早く! 赤ちゃんいるから4人か 並んで。 よし! 鳩がでますよ!」

(シャッター音)

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