連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第65話「貧乏神をやっつけろ」

出版社

茂「うわ! ナメクジが いっぱい 這っとる。」

社長「なかなか いい出来だね。」

茂「どうも。」

社長「そしたら これ。 原稿は 頂いときます。 ご苦労さん。」

茂「あの… 原稿料は?」

社長「今 渡したでしょう。」

茂「3,000円 頂きました。」

社長「ほら 確かに払いましたよね。」

茂「はい 確かに受け取りました。」

社長「ご苦労さん。」

茂「あの…。」

社長「何ですか?」

茂「残りは どうなっとるんですか?」

社長「残りって?」

茂「いや 原稿料 1冊 3万円のはずですが。」

社長「3万円?! 今どき そんな 相場どおりの金 払うとこありますか?」

茂「それじゃ 1冊 3,000円?」

社長「少なくて悪いけど また 描いてきたら 今度は 埋め合わせするから。」

茂「3,000円では 幾らなんでも安すぎる。 3万円が無理なら 2万円 せめて半分の 1万5,000円だけでも。」

社長「しかたないなあ。 こっちも苦しいけど 頑張って上乗せして。 ほら!」

茂「500円…。 たった500円!」

社長「たった?」

茂「40過ぎた男に 500円って 子供の小遣いじゃあるまいし!」

社長「私ゃね 1日 200円でやってるんですよ! いらないんだったら 返してもらいましょう。 500円あればね 2日半 生き延びられるんですから!」

茂「もらいます。 もらっておきます。 はあ~! 貧乏神 あいつ またおる。」

水木家

居間

(雷雨の音)

茂「熱でもあるのか?」

布美枝「少しだけ。 鼻水出とるし 夏風邪ですかね?」

茂「病院 連れてかなくて ええか?」

布美枝「今日は もう少し様子を見て 明日も ようならんだったら 連れていきます。」

茂「大丈夫かな?」

布美枝「うん 熱は 上がってない。」

茂「電気代なんか 払ってくるんじゃなかったなあ。」

布美枝「え?」

茂「3,500円から たまった電気代 払ったら 病院に連れていく 車代も残らん。」

布美枝「あんなに描いて 幾らなんでも 安すぎですよね。」

茂「どこもかしこも 貧乏神に 取りつかれとるようだ。 福の神にでも来てもらわん事には もう どうにもならんな。」

布美枝「ええ。」

男「ごめんください!」

2人「来た!」

(雨の音)

スポンサーリンク







シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク