茂「業界新聞か… いや 俺は ええ。」
浦木「ええ事あるか。 食うや食わずなら まだしも このままいけば 食わず食わずになるぞ。 会って 教えを講うてこい。 うまくすれば 仕事のおこぼれに あずかれるかもしれんぞ。 ほら 住所 書いてきてやったぞ。 ああ もう 恰好つけとる場合か! 漫画家魂なんかで おまんまは 食えないぜ。」
2階
はるこ「大きくなりましたねえ。」
布美枝「ミルクも よう飲むし 離乳食も たくさん食べるし お父ちゃんと藍子 うちには 食いしん坊が 2人もおって 大変だわ。」
はるこ「あっ そうだ。 新聞に おいしそうな 離乳食の記事が載ってたんで 切り抜いてきたんです。」
布美枝「あら。 あ これ この間の写真…。」
はるこ「あ 別に 深い意味は ないんです。」
布美枝「え?」
はるこ「これは その… え~と…。」
浦木「はるこさ~ん! そろそろ 失礼しませんか?」
はるこ「は~い 今 行きます。 藍子ちゃん またねえ。」
布美枝「ああ。」
<はるこの慌てた様子が 何だか 妙な感じに思えました>
居間
布美枝「『さけのクリームスープ』か。 頂いた さけ缶使えて ちょうどええかな。」
回想
浦木「ほら ごらんなさい。 『あんな写真 お守りにするな』って 言ったじゃないですか。」
回想終了
布美枝「お守りって あの写真の事?」
回想
浦木「将来について 真剣に悩まなきゃならんのは お前の方だぞ。」
回想終了
茂「業界新聞か…。」
布美枝「藍子 危ないよ。 お父ちゃん ちょっと お願いします。」
茂「おい 藍子。」
(藍子の声)
茂「藍子も 頑張っとるなあ。」
布美枝「ん?」
茂「ふらふらしながら 立とうとしとるぞ。」
布美枝「どげしたら 歩けるのか いろいろやって 試しとるんですね。」
茂「いろいろやって か…。 俺も 話だけでも 聞きに行ってみるかな…。」