連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第71話「連合艦隊再建」

早苗「はい くず湯 何にもなくて 悪いけど。」

布美枝「いいえ いただきます。 はあ~! あったかい。」

早苗「お互い ストーブくらい 景気よく 焚けるようになりたいわね。 うちの人 ほんとに お金もうけが下手だから。」

布美枝「戌井さん 優しいですもんね。」

早苗「お人よしなのよね。 こんなに お金がないっていうのに 漫画家の卵の 若い人なんか訪ねてくると 何日か 居候させちゃうの。」

布美枝「あら まあ!」

早苗「漫画家さんが 片道の電車賃だけ 持って うちに来るでしょう。 帰り分は 原稿料を当てにして。」

布美枝「片道分の燃料だけ積んで まさに 特攻精神で。」

早苗「そうそう。 どうなに お金がない時でも 帰りの電車賃だけは 持たせなきゃいけないって 有り金 全部 持たせちゃうの。」

布美枝「面倒見がええですからね。」

早苗「世話好きなのよね。 でも それ以上に 漫画が好きなのよ。 あの人 漫画バカだから。 一生懸命 描いてる 若い人 見てると ほうっておけないんですって。 金のために 才能のある漫画家を つぶしちゃいけない。 だから 手を貸すんだって そういう事 言うの。」

布美枝「立派だなあ。」

早苗「ちょっと 恰好つけてるのよ。 あの人から 漫画とったら 何も残らないでしょ。 どうせ この先 一生 漫画とは 縁が切れそうもないから 貧乏とも 手が切れないって こっちも 覚悟 決めたわ。」

布美枝「私も覚悟しなきゃ。 お父ちゃんが 漫画 やめるなんて 絶対 考えられんもんなあ。」

早苗「戌井なんて その上 飲み代まで ひねり出そうとしますからね。」

布美枝「うちは 飲まない分 変な物に凝るんですよ。 模型で 連合艦隊を再建するって 張り切ったり。」

早苗「連合艦隊?」

布美枝「はい。」

早苗「もう 軍事予算がかかって 大変。」

(笑い声)

早苗「2人とも変な男よね。」

布美枝「ほんとに。」

早苗「フフフ!」

玄関

早苗「ムダ足させちゃって ごめんなさいね。 あの人 どこまで行っちゃったのかしら?」

布美枝「また 日を改めて伺います。 今日は これで。 (くしゃみ)」

早苗「ごめんなさい 寒い中で 長い事 待たしちゃったから 風邪 ひいちゃったかしら?」

布美枝「いいえ。 くず湯 ごちそうさまでした。」

早苗「お金 後で届けさせますからね。 必ず 届けさせますから。」

布美枝「はい。」

道中

布美枝「不動産屋さんの月賦でしょ 米屋のたまったツケと 電気代とガス代。 今日 お金を頂けなかったのは 大誤算だなあ。 電車賃 払ったら もう一文なしだ。 はあ~。」

<当てにしていた 原稿料が入らず 布美枝は 何だか 体から 力が抜けていくような 気がしました>

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