連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第7話「ご縁の糸」

道中

チヨ子「先生の助手か。」

布美枝「うん。『ちょっこし 考えさせて下さい』って 言ったんだども。」

チヨ子「お給料は もらえるの?」

布美枝「月3,000円だって。」

チヨ子「すごい! 家の手伝い しとるより ずっと ええじゃない!」

布美枝「できるんかなあ? 私に。」

チヨ子「また始まった! フミちゃんの引っ込み思案。 本当に小心だが! 背は大きいのに。」

布美枝「もうっ それを言わんで!」

チヨ子「裁縫 得意なんだけん いっぺん やってみたら ええがね。」

布美枝「やってみようかな…。」

飯田家

居間

輝子「ええ お話だと 思いますがねえ。 和菓子の『にしきや』言ったら 安来でも指折りの老舗ですけんね。 お得意さんも 多いし 商売は しっかりしとるし!」

源兵衛「だども 布美枝に 縁談は まだ早いだろう。」

登志「あれは 幾つになった?」

ミヤコ「満で 21歳です。」

登志「なら もう お嫁に行く年だわ。」

ミヤコ「ええ。 布美枝の お友達も 『もうじき 結婚する』 言うとりました。」

輝子「支度だ 結納だって 時間が かかりますけんね。 お嫁に行く時は 22歳。 ちょうど ええと思いますよ。」

源兵衛「う~ん。」

輝子「ダメですよ 兄さん! 娘を いつまでも 手もとに置いとったら。」

源兵衛「布美枝を嫁に出したら 店に人を 雇わんといけんし 家も 忙しくなるな。」

ミヤコ「はい… けど 布美枝が ええとこ 嫁に行くなら。」

登志「うん… 先方は どげん言っとるの?」

輝子「大層 乗り気なんです! 『跡継ぎ息子だけん 嫁も 少しは 商売の分かる方がええ』言われて。」

登志「ああ そげかねえ。」

輝子「条件は ええし 進めるだけ 進めてみたら どげです?!」

飯田呉服店

(カラスの鳴き声)

布美枝「ただいま!」

源兵衛「うむ。」

布美枝「ねえ 今 ちょっこし ええ? 相談が あるんだけど。」

源兵衛「おう。」

布美枝「今日 洋裁学校の先生から 助手の仕事 頼まれて。」

源兵衛「縁談が来とる。」

布美枝「え?」

源兵衛「見合いの話 進めるぞ。」

布美枝「…見合いって 誰の?」

源兵衛「だらっ お前の他の 誰がおる。」

布美枝「えっ 私の?!」

飯田家

2階

布美枝「縁談かあ…。」

いずみ「フミ姉ちゃん。 今度 これ作って!」

布美枝「結婚かあ…。」

いずみ「恰好ええな。 私も こんなマント 欲しいわ。 ねえ こんなの縫って。」

布美枝「う~ん ええよ…。」

(ミシンの音)

<突然やってきた 初めての見合い話に まだ 実感のわかない 布美枝でした>

安来洋裁学園

チヨ子「お見合い? 『にしきや』の跡取り息子と?!」

布美枝「し~っ みんなには黙っとってよ。」

チヨ子「もちろん! どげな人? 写真 見た?」

布美枝「まだ。 これから 話 進めるとこだけん。」

チヨ子「ほんなら 見に行こうよ!」

布美枝「え?」

チヨ子「和菓子の『にしきや』なら 大市場だが? どげな人か 顔 拝みに行こうよ!」

布美枝「いけん 見つかったら困る!」

チヨ子「陰から コッソリのぞいたら ええが!」

布美枝「でも…。」

チヨ子「あんたの性格だと 話が進んでしまうと 嫌でも 断れなくなるよ! だけん 今のうちに 下見しといた方が ええって。」

布美枝「あ ちょっと ちょっと ちょっと チヨちゃん 待って!」

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