連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第82話「旅立ちの青い空」

キヨ「はあ 美智子も かわいそうに…。 よく分かってるんだよ。 美智子の気持ちは。」

布美枝「おばあちゃん…。」

キヨ「政志に すまないと思ってんだよ。 シベリアに行ってる間に 子供を 死なせてしまった事…。 ずっと負い目に思ってて…。 ふがいない亭主に 強い事 言えないんだよ。」

布美枝「病気だったんですよね 子供さん。 腸チフスで亡くなったって…。 だったら 美智子さんの せいじゃないのに。」

キヨ「何度も 言って聞かせたよ。 『あんたのせいじゃない』って。 それでも… 自分を責めちまうんだろうさ。 母親だから…。」

回想

美智子「どうしたの? こんな物。」

政志「これ食って 元気な子供 産んでくれ。」

回想終了

布美枝「美智子さん…。」

キヨ「でもねえ…。 美智子が 自分を責めてるうちは 政志だって 救われないよ。 どうしたら いいかねえ…。」

<店に警官が来る騒ぎから 1か月…>

こみち書房

子供7「今日 漫画の発売日だね 本屋さんに買いに行こう!」

子供8 9「うん! あれ楽しみなんだよねえ!」

子供たち「早く読みたいね。 早く行こう! うん!」

<こみち書房を訪れる客は 目に見えて減っていました>

水木家

(小鳥の鳴き声)

居間

茂「おい。 おい 出来たぞ。」

布美枝「あ はい。」

茂「何度も声かけとるのに。」

布美枝「ああ すいません。 夢中になっていて。」

茂「あ~ 『勲章』か。 これ よう描けとるだろう?」

布美枝「はい。 勲章や肩書に みんなが コロッと だまされる話…。 何べん読んでも なるほどなあって。」

茂「うん。 『ゼタ』は 大人の読者も多いけん これくらい 毒が効いとった方が ええんだ。 ほれ 次号の原稿。 深沢さんに 届けてくれ。」

布美枝「あ…。」

茂「俺は 仕事が あるけん。」

布美枝「はい。」

茂「これも 面白いぞ!」

玄関

(犬のほえる声)

子供達「きゃ~! 怖いよ! 野良犬だ! 逃げろ~!」

(犬のほえる声と 子供達の騒ぐ声)

茂「おい。 この間から 野犬が うろついとる ようやけん 気をつけて行けよ。」

布美枝「はい。」

茂「うん。」

布美枝「行ってきます…。」

茂「おう。」

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