美智子「荷造り 大変よ。 本が多いから。」
政志「ああ。」
美智子「全部は 持っていけないわね。」
政志「悪いな。 せっかく ここまでやったのに。」
美智子「店の名前 『こみち書房』ってつけたの どうしてだか 知ってるでしょう?」
政志「『みちこ』を入れ替えて 『こみち』だろ?」
美智子「うん。 だからね 場所は どこでも いいの。 どこでやっても 私がいる所が 『こみち書房』。 エへへへ…。」
政志「おい。」
美智子「ん?」
政志「今まで よく頑張ってくれた。 金メダルだ!」
水木家
<昭和39年10月10日 前の日まで降っていた雨が上がり 真っ青な 秋晴れの空が広がっていました>
布美枝「ええ お天気!」
居間
布美枝「どげです? もうじき オリンピックの開会式 始まりますけど。」
茂「分かっとる。」
布美枝「あ ちょちょっと そげに叩いたら壊れます。 もう お父ちゃんは 機械に弱いんだから。」
茂「何を言っとる。 貸してみろ。 こんなもん 気合い入れて叩けば 直るわ!」
太一「ごめんください!」
布美枝「ん?」
玄関
布美枝「どうしたの?」
太一「大変です! こみち書房が…。」
布美枝「え?!」