連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第84話「旅立ちの青い空」

こみち書房

テレビ『世界中の秋晴れを 全部 東京に 持ってきてしまったような すばらしい秋日和でございます。 ロイヤルボックスは メインスタンドの中央にございます』。

政志「おい 荷物ねえか?」

美智子「うん 終わり。 全部 積んだ。」

布美枝「美智子さん! 今日が引っ越しって どうして 言ってくれなかったんですか? 黙って行くなんて あんまりです。」

太一「そうだよ…。」

靖代 徳子 和枝「美智子さん!」

靖代「美智子さん あんた どういう事?!」

徳子「私達にまで 内緒って!」

和枝「随分じゃないの!」

キヨ「ほ~ら 言わんこっちゃない。 早くしないから いつもの連中が来た。」

美智子「あ~あ 今日なら みんな 開会式に くぎづけで 見つからないと 思ったんだけどなあ。」

布美枝「美智子さん…。」

美智子「ごめんなさい。 後で 手紙 書くつもりだったの。」

布美枝「みんなで 『送別会しよう』って 計画しとったんですよ。」

靖代「そうよ!」

徳子「そうなのよ!」

美智子「そんな事してもらったら 別れるの つらくなっちゃうじゃない。 ほら もう 泣き顔。 そんな顔 見たら 私だって 笑ってられない…。」

キヨ「なんだよ また メソメソして。 だからね 見送られるのは 嫌なんだ!」

政志「あ 先生! 俺 やってみるよ。 今から追いつけるかどうか 分かんねえけど。」

茂「はい。」

美智子「布美枝ちゃん どこで 店 開いても こみち書房の 一番のお薦めは 水木先生の漫画だから。」

布美枝「はい…。」

美智子「頑張ってね。」

政志「そろそろ 行くぞ。」

美智子「皆さん お世話になりました!」

テレビ『いよいよ これから 選手団の 入場行進 開始であります。 華やかなパレードが開始されます』。

<こみち書房の一家が 新しい人生に向けて 旅だっていきました>

<秋晴れの空の下 東京オリンピック 開会式の日の事です>

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