連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第97話「プロダクション旗揚げ」

仕事部屋

(ペンを走らせる音)

茂「よし。 ベタ頼む。」

布美枝「はい。」

茂「さっきの カンピョウのような男より お前の方が うまいな。」

布美枝「カンピョウ…?」

回想

菅井「アシスタント志望 菅井 伸!」

回想終了

布美枝「ああ…。」

茂「あの絵で 漫画家を志す事自体が間違いだ。 しかし どうしてこう 妙な奴ばかり来るのかなあ?」

布美枝「はあ… なしてでしょうねえ?」

茂「ほれ 手が止まっとるぞ。」

布美枝「あ はい!」

茂「ニャーゴ… ニャーオ! ウワー… キッ! この化け猫め! ん? 何だ?」

布美枝「久しぶりに見たなあと思って。 お父ちゃんの百面相。」

茂「そげか。」

(2人の笑い声)

藍子「お母ちゃ~ん。 お腹すいた。」

布美枝「あら もう こげな時間! お父ちゃん 先に ご飯の支度してもええ?」

茂「ああ 俺も 腹 減った。」

編集者「先生! そろそろ 頂かないと 締め切りが…。」

茂「すまんですが もうちょっとだけ 待っとって下さい。」

布美枝「先に 仕事ですかね?」

茂「そげだな。」

藍子「お腹ペコペコだよ。」

布美枝「もうすぐだけん 待っとって。」

編集者「先生! そろそろ タイムリミットです!」

茂「あと もう少しですから!」

藍子「ご飯は~?」

(電話の呼び鈴)

布美枝「あっ! あ… はみ出した!」

茂「落ち着け!」

(藍子の泣き声)

茂「あっ!」

布美枝「ごめんね 藍子!」

<福の神の到来で 急に増えた仕事は 布美枝と茂の暮らしを ひどく慌ただしいものに 変えていました>

玄関前

編集者「ありがとうございました。 失礼いたします!」

居間

(電話の呼び鈴)

布美枝「はい。 村井でございます。 あ お世話になっております。 はい。」

仕事部屋

茂「さて 一眠りするか。」

居間

布美枝「分かりました。 はい。 よろしく お願いいたします。 はい。 失礼します。」

仕事部屋

布美枝「お父ちゃん。 豊川さんが 明日の午後に 原稿取りに みえられるって。」

茂「ああ あっちも 仕上げんと いけんだったか。 はあ…。 これは もういかんな。 待っとっても どげだいならん 作戦変更だ。 こっちから スカウトに行くぞ。 これだ! 倉田… 圭一。」

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