夜
居間
かよ「ただいま。」
英治「お帰り。」
花子「お帰り。 ねえ かよ 見て。 英治さんが『王子と乞食』の装丁 描いて下さったのよ。 こういう しゃれた装丁なら 郁弥さんも喜んでくれるらね。」
かよ「ほんなこんしても 意味ないじゃん…。」
花子「かよ?」
かよ「おやすみなさい。」
書斎
英治「君も無理するなよ。」
花子「ありがとう。」
英治「かよさんは 『王子と乞食』の 単行本を作る事 反対なんだな…。」
花子「私も このまま進めていいのかどうか 分からなくなったわ…。」
宮本家
廊下
蓮子「お水に お酢を少~し入れると いいなんて 知らなかったわ。 かよちゃん。」
かよ「あっ ごめんなさい。」
蓮子「何か あったの?」
かよ「お姉やんたち 『王子と乞食』の 単行本を作ろうとしてるです。 お姉やんたちは 郁弥さんの夢を かなえようとして頑張ってる。 ほれでも 郁弥さんは…。 郁弥さんの時計は あの日から ずっと止まったまんま…。 前に進まんきゃいけんのかな…。 おらは… このまま止まっていてえ。 郁弥さんのいた時間に…。」
蓮子「かよちゃん…。」
村岡家
居間
『ごめん下さい。』
花子「はい。」
玄関
花子「てっ!」
嘉納「はなちゃん 久しぶりやね。」