連続テレビ小説「花子とアン」第110回「春の贈りもの」【第19週】

居間

嘉納「ここんちは 無事やったようで 何よりばい。」

花子「今日は どうなさったんですか?」

嘉納「あんたに頼みがあって来たとばい。 おい。 あれを。 はなちゃんは 英語ん翻訳がでくるとやろ?」

花子「あ… ええ。」

嘉納「それを日本語に 直しちゃってくれんね。」

花子「英文のお手紙ですか?」

嘉納「ああ。」

花子「分かりました。」

嘉納「おう。 よろしく頼むばい。」

嘉納「なんな?」

花子「いえ… では。 『最愛の伝助様 お慕いしております。 アメリカに帰っても あなたの事は わ… 忘れません。 あなたと過ごした 神戸での熱い夜…』。」

嘉納「分かった! もうよか! (せきばらい) え~… 神戸の博覧会で会うた 金髪の踊り子たい。」

花子「これくらいなら お安いご用なので いつでもどうぞ。」

嘉納「ああ 助かるばい。 はなちゃんは また 本を書いて出さんとか?」

花子「ええ…。 出したいと 思っているんですけど このご時世ですから なかなか難しくて。」

嘉納「蓮子は あんたの本を読みよる時が 一番 ご機嫌やったばい。 俺は 無学で字が読めん。 ばってん あいつが読みよるのを 見て 分かった。 本ちゅうのは 読むもんを 夢見心地にするとやろね。」

花子「はい!」

嘉納「東京は こげな ありさまやき こげん時こそ あんたの本を持っちょる人が ほかにも 大勢おるとやろね。」

花子「嘉納さん…。」

<伝助の言葉に 力づけられた花子でした。 ごきげんよう…。 おや?>

嘉納「もう一つ… 聞きたい事がある。」

花子「てっ…。 な… な… 何でしょう?」

<石炭王は 一体 何を聞きたいのでしょうか? ごきげんよう。 さようなら。>

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