宮本家
居間
蓮子「ただいま。」
富士子「お母様 お帰りなさい。」
浪子「どした? やっぱり 龍一には 会わせてもらえなかったのかい?」
蓮子「ええ…。」
浪子「家族にも 会わせてもらえないなんてね。」
蓮子「申し訳ありません。」
純平「お母様が謝る事なんてない。 悪いのは お父様だ。」
蓮子「純平…。」
JOAK東京放送局
スタジオ
花子「皆さんは 戦地の兵隊さんが 安心して戦え 誉れの凱旋ができますように おうちのお手伝いをし しっかり お勉強致しましょう。 それでは 皆さん ごきげんよう。 さようなら。」
有馬「お疲れさまでした。」
花子「お疲れさまでした。 あの… 黒沢さん。」
黒沢「はい。」
花子「ご相談したい事があります。」
応接室
花子「私… このまま語り手を 続けていくべきなのかどうか 分からなくなりました。」
黒沢「村岡先生…。」
花子「私は 子どもたちが わくわくするような話がしたくて この番組をお引き受けしました。 これ以上 戦争のニュースばかり 詠み続けるのなら 私ではなく 有馬さんお一人で読まれた方が よろしいんじゃないでしょうか?」
黒沢「子どもたちは 村岡先生の『ごきげんよう』を 待っているんです。 『ごきげんよう』という 先生の挨拶を聞くために ラジオの前に集まってくるんです。 こういう時だからこそ僕は 村岡先生の『ごきげんよう』が 子どもたちの心を 明るく照らすのだと思います。」
花子「黒沢さん…。」
黒沢「どうか続けて下さい。 お願いします。」
村岡家
書斎
英治「花子さん。 蓮子さんから 電話だ。」
花子「蓮様から?」