JOAK東京放送局
スタジオ
花子「ご無沙汰しております。」
「ご無沙汰しております。」
黒沢「村岡先生と また こうして ご一緒できた事 本当にうれしいです。」
花子「こちらこそ 黒沢さんが いて下さって心強いです。」
黒沢「今は GHQの 厳しい統制下に置かれていて 以前とは違う ご不便を おかけするかもしれませんが…。」
『ママさん』
花子「ママさん?」
『今日の原稿だ。 検閲済みだから 勝手に変更するなよ』
花子『承知しています』
『へえ あんたそんなチビなのに 本当に英語がしゃべれるんだな』
花子「チビ…。」
『問題起こすなよ いい万年筆だな くれよ』
「あっ この万年筆は 父の形見で…。」
『何だ 言うことが聞けないのか 戦争に勝ったのは誰だ』
花子「Mister.」
「なんだいママさん」
花子『その万年筆は お父様の形見だそうです 返しなさい』
黒沢「村岡先生。」
花子『確かに 日本は負けました だからといって そんな傍若無人に振舞って いいと思ってるんですか 初対面の女性に ヘイ ママさんなどと 言うのは失礼です。』
『まあまあ』
花子『どうか進駐軍として 品位のある行動をして下さい
『このご婦人の言うとおりだ 今すぐガムを捨てて謝罪しろ』
『申し訳ありませんでした』
『退出しろ』
『部下の非礼をお詫びします 失礼しました』
黒沢「あの… 何と?」
花子「『部下の非礼をお詫びします』と おっしゃっています。」
『あなたはまるでポーシャみたいだ ポーシャを知っていますか?』
花子『シェイクスピアの 『ヴェニスの商人』ですね』
安東家
寝室
吉平「そろそろ はなのラジオが始まるら。」
吉太郎「おとう 無理しちゃ駄目じゃん。」
吉平「今日は 気分がいいだ。」
醍醐「はなさん 今日は 何のお話をするのかしら?」
アナウンサー『皆さん 本日は 『ごきげんよう』でおなじみの 村岡花子さんをお招きしました』。