謙次「ああ 多恵子。」
多恵子「そんな くだらないこと言うために わざわざ来たの?」
純「あの。 あけましておめでとうございます。」
謙次「多恵子 また!」
愛「お母さん あけましておめでとうございます。 新しい年になったことだし 今年からは純さんと仲良くしてもらえませんか? その… 僕ら家族なんだし。」
多恵子「忘れたの? 私は この女と別れるためなら なんでもするって 言ったはずよ?」
愛「だから そういう 言い方もやめてください。 純さんの前で お母さんがなんと言おうと 僕は一生 純さんのことを 支えていきますから。」
多恵子「純さん 純さん 純さん 私の前で 二度と その名前を呼ばないで 私にとって 純は あなたの死んだ弟の名前なの!」
多恵子「この人が 待田純って名乗るだけで 私がどんな おぞましい気分になるか あなたは 理解しようとさえしない この人が我が家に侵入するだけで どんなに不愉快で 嫌な思いするか 考えもしない そんな人間のために そんなみすぼらしい恰好でみすぼらし人生送ってても 見なきゃ この母親の身にもなったら どうなのよ!」
謙次「多恵子。」
多恵子「あなたも バカじゃないんだから気がついたら? あなたなんかに ウチの家族の幸せを壊す権利もないし 私の人生を台無しにする権利もないの 私にとって 待田純は もうこの世に存在しない人間なのよ!」
謙次「多恵子! 多恵子 待ちなさい! 多恵子!」
道中
純と愛「はあ…」
純「やっぱ お父ちゃんの家行くのやめよっか?」
愛「それは ダメです。」
純「だよね…。」
愛「いきますよ。」
狩野家
晴海「よく来たねー 正も剛も来ないから もう寂しくてさ。」
純「そっか。」
晴海「おとうさん。 純が来てくれましたよ。」
純「あけましておめでとうございます。」
愛「おめでとうございます。」
晴海「座って。」
善行「なんや? 正月早々なんか また文句でも 言いに来たんか? 言うとくがな 仕事がないからというてな 俺のところに就職お願いしますというのは それは筋が違うぞ?」
純「お父ちゃん。」
善行「ん?」
純「色々あったけどさ 年も改まったし 私もう 過去は見ないで 未来を見て生きていくことにしたから 愛君と。」
善行「おい! ビール もう1本。」
晴海「はいはい。」
純「よ! おいしそう!」
晴海「おとうさん 島酒ですよ。」
善行「なんねんな お前! 大阪でお正月やないか お前! なんで 宮古の料理に宮古の酒 持ってくんねん お前! だし巻き卵無いやん! 作れ! 頼んどいたやろ俺? 宮古の料理 イヤやん はよな 宮古のこと忘れてしまえ お前は。」
晴海「今作りますね。」
善行「もう…。」
純「お父ちゃん そんなこと言う権利あるわけ? 宮古はお母ちゃんの育った大切なふるさとなの 忘れられるわけがないでしょう?」
善行「お前こそな 正月早々 いちいちな俺に向かってな 文句 言うな!」
ビールを倒してしまう善行
純「ああ! 何やってるのお父ちゃん!」
善行「台拭きが足りんわ こっち こぼれてる。」
純「分かってる。 びっちゃびちゃ。」