小原家
玄関前
聡子「おっちゃん ただいま!」
木之元「聡ちゃん! 新聞 見たで! すごいやんか。」
聡子「見た?」
木之元「おう おう おう!『テニスの強豪 和泉女子高に 大型新人が入部』ちゅうて。 聡ちゃん 中学の大会で 何べんも優勝してんやて? 糸ちゃんも 何も言えへんし。」
聡子「お母ちゃんは うちのテニスなんか 全然 興味ないさかい。」
木之元「次あったら 絶対 言うてや。 応援しに行くよってな!」
聡子「分かった!」
木之元「おう サーブや!」
聡子「スマッシュや!」
木之元「おう わあ~!」
台所
聡子「ただいま~!」
千代「お帰り! 載ってたで 今日の新聞!」
聡子「ふん。」
千代「ええ事 書いてもうてた! おばあちゃん 鼻が高いわ! フフフ!」
聡子「いちごや!」
千代「ああ これな。 北村さんが また送ってきてくれてん。」
居間
聡子「ただいま!」
糸子「お帰り!」
聡子「お母ちゃん!」
糸子「うん?」
聡子「今日の新聞 見た?」
糸子「うん。」
聡子「うち 載っててんで。」
糸子「はあ 載ってたなあ。 昌ちゃんらが えらい騒いじゃったわ。 ああ… 何か方法ないか? あれ? いちごなんかあんの?」
聡子「ふん。 また 北村のおっちゃんが 送ってくれてんて。」
糸子「北村か。」
聡子「ふん。」
糸子「北村なあ。 あ~ 北村… 北村 北村。 北村…。 よっしゃ! それや!」
松田「はれ! 聡ちゃん!」
聡子「ただいま!」
松田「昌ちゃん! 聡ちゃんやで! ちょっと すごいなあ! 新聞 載ちゃったやんか!」
聡子「ああ!」
昌子「聡ちゃん! 見たで! すごかったなあ!」
聡子「ありがとう!」
珈琲店・太鼓
テレビのアナウンサー『満員の後楽園球場…』。
北村「毎度!」
店主達「いらっしゃい! 毎度!」
北村「おう 長嶋け?」
「わあ ええわこれ。」
糸子「こら! はよ座って! うち 忙しいんや。」
北村「自分から呼び出しといて 偉そうやのう。」