連続テレビ小説「カーネーション」第108回「自信」【第19週】

糸子「いや ないで ほんなもん。」

優子「え?」

悟「は?」

糸子「ちゅうか まあ あるとしても ないと思といて下さい。」

悟「はあ。」

糸子「男のお宅が やっと成人して いよいよ 社会出てってたろか ちゅう時に 嫁の親のツテなんぞ あてにしたら あきません。 どうぞ お宅が ほんまに勤めたい思う会社を 自分で探して見つけて下さい。 そら 最初は いろいろ苦労も あるかと思います。 けど そうゆう事こそ 後の財産に なるちゅうもんやのに 先回って 取ってまうようなまね うちは ようしませんわ。」

井戸

優子「ごめんね。」

悟「気にするなよ。」

優子「うちのお母さんたら 本当に頭が固いんだから。」

悟「いいって。」

優子「泊まっていかないの?」

悟「うん。 やっぱり ホテルを取ったんだ。 僕 人んちに泊まるの 苦手だからさ。 また すぐ 手紙書くよ。」

優子「うん。 ねえ… 好きよ。」

悟「僕だってさ。」

<そら 好きなんやったら 結婚したらええ。 それも縁や。 なんぼ気に入らんかて 縁ちゅうんは 横から他人が ぶった切って ええもんちゃう。 よかれあしかれ 本人が たどれるとこまで たどってるうちに いずれ 答えは出てくる。 ほんで ええんや>

小原家

オハラ洋装店

(2階へ乱暴に上がる足音)

(ため息)

糸子「こら! 降りてこんかいな! 仕事や! あんたな 気に入らん事あるたんびに 2階行って べそかいちゃあったら 商売なれへんやで!」

優子「分かってるわよ!」

客「こんにちは~!」

優子「いらっしゃいませ!」

客「へ? な 何や! いらっしゃいませ。 ハハハ! いらっしゃいませやて!」

糸子「どうも いらっしゃい!」

客「やあ。」

糸子「すんません。 これ うちの娘ですわ。」

客「はあ! ほうかいな。」

糸子「東京帰りやよって ちょっと けったいな しゃべり方しますんや。」

客「びっくりしたわ! 別の店に入ったかと思たわ。 ハハハ!」

糸子「今日 どないしましょう?」

客「今日な 夏の服 お願いしよう思て。」

糸子「夏服 ほう。」

<優子は 結局 卒業の時も 首席やったそうです。 講師として学校に残れへんか ちゅう話もあったのを こないして約束どおり 岸和田へ帰って来てくれました>

客「肥えたかもしれんねん。」

糸子「嘘~!」

<焦らんでええけどな 勉強やで>

松田「優ちゃん。 これ ちょっと見てくれるかな。」

優子「はい。」

松田「これな 番号順に並んでんけどな。」

東京・小原宅

(せきこみ)

(ノック)

源太「俺! 入るよ!」

(ドアの開く音)

千代「すんません! 直子!」

直子「おばあちゃ~ん!」

千代「あらまあ! あんた 大丈夫か? あ~!」

(泣き声)

直子「大丈夫ちゃう~!」

千代「熱は どない? せきは?」

直子「おばあちゃん!」

千代「よしよしよし! もう 大丈夫や。 なあ しんどかったなあ。」

(泣き声)

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