小原家
<ほんでも うちには まだ 祭りがあります!>
ベランダ
♬~(お囃子)
「ソーリャ ソーリャ ソーリャ ソーリャ ソーリャ!」
<世の中が どんなけ こむずかしなったかて 祭りだけは なあんも変わらん 昔のまんま。 ゴロッと 熱て>
糸子「ええなあ!」
オハラ洋装店
<けど お客さんの顔ぶれは 随分 変わりました。 近所のおっちゃんらが 減ってしもた代わりに 遠くからのお客さんが 増えて 娘らも 年くうた分 お客さんも このごろは どこぞの偉いさんばっかし らしいんやけど うちには よう覚えられんよって とにかく…>
『おかあちゃん ハハハ!』
<飲んでもろて 食べてもらう。 楽しんでもらう>
糸子「ビール 足りてますか?」
「ああ どうもどうも。 お招き頂きまして ありがとうございます。」
聡子「はい どうぞ!」
「おお 聡子ちゃん!」
聡子「あ 橋田社長! ご無沙汰してます。」
「久しぶりやなあ! いつ見ても 別嬪やなあ!」
聡子「いや~。 またあとで ゆっくり!」
「『あとで』て そんな… 久しぶりに 会うたんやから ついでえな。」
譲「先生!」
栄之助「珍しい奴 連れてきましたで!」
高山「先生!」
糸子「あれ 守やないか~?! ハハハ!」
高山「ご無沙汰してます~!」
糸子「あんた 出世したんやて? 今 どこに いてんの?」
高山「東京本社です。」
糸子「よう来たなあ。」
<譲も 栄之助も 守も すっかり 一丁前の男になりました>
座敷
糸子「今度 病院で ファッションショー やるんや。」
直子「病院のファッションショー?」
糸子「うん。」
子供達「ひいばあちゃ~ん!」
里恵「あ~ こらこら 駄目駄目。」
直子「おばあちゃん ギュッとした あかん。」
里恵「駄目よ そ~っと したげて。」
糸子「堪忍なあ。 おばあちゃん キュッとされたら もう 体 痛い痛いよってな 堪忍 堪忍。」
子供達「え~っ!」
糸子「はい 賢いな ほら。」
里恵「ほら だんじり。」
糸子「だんじり 来るでえ ほら。 見とき。 賢い 賢い。」
直子「落ちなや。」
糸子「ほんでな ちゃんと歩き方の指導もつけて 事前に練習してもらお 思てんや。」
里恵「え 患者さんなのに 大丈夫なの?」
糸子「いや 患者やろうが 何やろうが やるからには きっちりせんとな。」
直子「そら そうや。」
里恵「怖~!」
糸子「ハハハ! あんた モデルの歩き方 教えてくれる人 知らんか?」
直子「ああ そら 何人か いてるわ。 紹介しよか?」
糸子「あ~ 頼むわ な!」