糸子「好き勝手やってるだけやのに 人が えらい喜ぶんや。 老いる事が 怖ない人間なんて いてへん。 年取ったら ヨボヨボなって 病気なって 孤独になる。 けど そのうちも もう 大した事せんでも うなぎ食べたり 酒飲んだり するだけで 人の役に立てるんや。 ええ立場やろ? フフフ!」
加奈子「はい。」
糸子「ほんでな あんたかて そうなんやで。」
加奈子「え?」
糸子「笑てみ。 に~って。 ほれ! ほんでもう 奇跡や。 末期がん患者が 笑たんや。 みんな 末期がんなんかになったら もう二度と笑われへん 思てんのに。 あんたが 笑うだけで ごっつい奇跡を 人に見せられる。」
糸子「あんたが ピッカピカに おしゃれして ステージを 幸せそうに歩く。 それだけで どんなけの人を 勇気づけられるか 希望を与えられるか。 今 自分が そういう資格 いや こらもう 役目やな。 役目を持ってるちゅう事を よ~う考えとき。」
加奈子「はい。」
糸子「あんたの出番は トリや。 髪は このごろ ウイッグの ええのんが なんぼでも あるよって また相談しよう。 あんたが 奇跡になるんやで!」