連続テレビ小説「カーネーション」第16回「熱い思い」【第3週】

仕事場

さよ「まあまあ まあまあ!」

清三郎「いやいやいや ハッハッハ すんませんな 無理 言いまして。」

枡谷「いえいえ せっかく おじいさんが 会いに来てくれたんやさかい 何ぞ おいしいもんでも 食べさせてもらい。」

糸子「ほんま すんません。 せや うち 水がめんとこに バケツ 置きっぱなしや。」

さよ「かめへん! 山口君に言うとくよって。」

玄関前

清三郎「どうも。 じゃあ 皆さん。 さあ。 では 失礼致します。」

糸子「さいなら。 明日は 朝早く 来ますよって。」

枡谷「よしよし… うん。」

パーラー・浪漫堂

(鐘の音)

(シャンソン)

糸子「ん? フルーツポンチて 何やろう? ん? 3食アイスクリーム? アイスクリームが 3食? え?」

清三郎「すまんけどな フルーツポンチに3食アイス。」

糸子「え どっちも ええの?」

清三郎「おう。 ほかには ええんか?」

糸子「え ど どないしよ! ちょっと待って う~んとね…。 え~っと… この… この…。」

清三郎「うん?」

糸子「ホ… ホ…。」

2人「ホットケーキ。」

糸子「ウフフ… それ!」

清三郎「ハハハハハ…。 ほな ホットケーキも。 私は コーヒーな。」

「かしこまりました。 お待ち下さいまし。」

♬~(シャンソン)

清三郎「フッフッフ どうや うまいか?」

糸子「んま~い!」

清三郎「『んま~い』か?」

糸子「う~ん。」

清三郎「ほうか! ハハハハハ…。」

糸子「あっ ええなあ。 うちも前掛け あんなヒラヒラ つけよかなあ。」

清三郎「で 糸子 どないや?」

糸子「うん?」

清三郎「ほら パッチ屋の修業は。」

糸子「うん ごっつい楽しい!」

清三郎「ほうか…。」

糸子「うん。」

清三郎「う~ん。」

糸子「最初は しんどかったけどな 慣れた。 今日な 初めて 生地の裁ち方 教えてもうてんで。 見てたら 簡単やのに 自分で やったら ごっつ難しいねん。 すぐ ゆがんでしもてな 物差しで ビシッと たたかれてしもうた!」

清三郎「ちょっと 見せてみい。」

糸子「うん そんな大した事ない。 ウフフフ…。」

清三郎「糸子…。」

糸子「ん? 何? おじいちゃん。」

清三郎「おじいちゃんとこ 来えへんか?」

糸子「うん?」

清三郎「いや ミシンなんかな おじいちゃんとこの会社で 山ほど使うとんねん。 お前が そんなに ミシンあるとこで 働きたいんやったら うちで 雇うたる。 な? 神戸 おいで。 おじいちゃんとこ おいで。 ミシンもな 自分が好きな時に 使いたいだけ 使うたらええ。 どや?」

糸子「おおきに おじいちゃん。」

清三郎「ほうか。」

糸子「そやけど… ええわ。」

清三郎「何でや?」

糸子「何でやろな? うちな 勉強になる方がええねん。」

清三郎「勉強?」

糸子「うん。 おじいちゃん うちに 甘いさかいな うち すぐ甘えてしまうと思うねん。そしたら 勉強にならへんやろ。 けど 今の店は 誰も うちに甘ないよって いっつも怒られんように 必死やねん。 しんどいけどな けど 必死でやらんと あかん方が 勉強になると思うねん。 精いっぱい勉強して 一人前 なったら おじいちゃんとこ 行くわ。」

スポンサーリンク







シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク