連続テレビ小説「カーネーション」第17回「熱い思い」【第3週】

町中

『生意気な小僧め お前からやってやる! 覚悟しろよ! それ~! かかれ~! やあ~!』。

<ミシンかて パッチかて そもそもは 洋服を作りたて 始めた事やったんでした>

糸子「忘れちゃった。」

小原家

座敷

<結局 誰も着んまま しまい込んでる間に これも すっかり色あせてまいました うちも毎日の仕事に 追われてる間に 肝心な事を 忘れてしもうてました あない洋服 作りたいて 思てたのに。 昔は ここから こないして見てたら>

糸子「もっと うれしかったのになあ。」

<うちの夢 冷えてしもたんかの>

(足音)

木之元電キ店

木之元「見てっちゃってよ 買うてっちゃってよ! 木之元電キ店! あ! 奥さん ラジオ知ってるか ラジオ! ええで ええで! 見てっちゃって!」

♬~(ラジオ)

糸子「奈津!」

奈津「あ!」

糸子「何で? あんた洋服 着てんの?」

奈津「ええやろ 別に。」

糸子「どないしたん? その洋服。」

奈津「どないしたって 作ってもうたに 決まってるやんか。」

糸子「作ってもうた? 誰に どこで?」

奈津「心斎橋。」

糸子「心斎橋?」

奈津「心斎橋に このごろ ええ洋裁店 ようさん出来てるさかい。 こないだも また新しいのん 頼んできたとこやし。」

糸子「何で あんたが洋服やねん。」

奈津「何でて 何やねん。 失礼やな。」

小原家

座敷

糸子「うわ~!」

(せみの鳴き声)

<うちの夢やのに 洋服は うちの夢やったのに>

糸子「う~ん。」

<うちがボケっとしとる間に 奈津の方が 洋服に近づいてまいよった>

(わめく声)

<作らな はよう うちも 洋服 作らな!>

(わめく声)

善作『やかましい! 何バタバタしとんねん!』

<そやった それには やっかいな事があったんでした>

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