居間
糸子「ほうか…。」
玉枝「うん。」
糸子「よかったなあ 奈津。」
玉枝「うん?」
糸子「泣けて よかったで。」
玉枝「そやな!」
<何やろな? 安岡のおばちゃんには 奈津が気ぃ許せる 何かが あんねやろな>
末松商店
玄関前
(猫の鳴き声)
<大将に ボロかす言われながらも どないか ロイヤルを辞めて 次に お父ちゃんに行かされたんは 生地の店でした>
店内
糸子「よいしょ!」
店主「おはうさん!」
糸子「おはようございます! よろしゅうお願いします!」
店主「ほな ちょう来て。」
糸子「へっ?」
<そやけど うちの仕事は 生地を売る事や のうて…>
作業場
店主「縫い子や。」
糸子「縫い子?」
店主「うちは セーラー服も扱うてんやし あんたは ミシンが 使えるっちゅうさかい 主には 縫製を やってほしいんや。」
糸子「はあ…。」
(ミシンの音)
糸子「えっ?」
縫い子「食べり!」
糸子「いや 今 仕事中やさかい。」
縫い子「かめへんて。」
糸子「ええっ? ああ…。」
<ええ~?! お菓子 食べながら 仕事してる。 いろんな仕事場が あるもんやなあ>
縫い子達♬『咲いて黄金の宝船 ハァー よせて文化の宝船 ソヤナイカ ソーダッセ』
<はあ~ こら ええ職場やなあ。 そやけど… ここで どんだけ セーラー服 縫うたところで お父ちゃんを認めさす事は でけへん。 そうや! うちは どないかして この店を繁盛させちゃらんと あかんのです。 ポケ~ッと 菓子 食うてる場合やないど!」
(ミシンの音)
店内
(柱時計の鳴る音)
縫い子「お先です。」
店主「お疲れさん!」
縫い子「お疲れさまです。」
縫い子「大将 お先!」
店主「はい ご苦労さん。」
糸子「すんません。」
店主「うん?」
糸子「あの~ うち 店 出さして もらえませんやろか?」
店主「はあ?」
糸子「縫い子や のうて 生地屋の売り子を さしてもらいたいんです。」
店主「はあ?!」
糸子「出さしてもうたら 絶対 繁盛させますよって!」
店主「いや 要らんちゅうてんねん。 要らん仕事されたかて 給料は出されへんで!」
糸子「ほな こんなん どないですか?」
店主「何や?」
糸子「昼間は 売り子をさしてもらう。 そんかわり セーラー服の仕事は
持って帰って 夜のうちに 家で仕上げてきます。」
店主「はあ?!」
糸子「これやったら 絶対 店は損しません!」