オハラ洋装店
<その勝さんから 葉書が来ました>
糸子「元気そやな…。 ちょっと 昌ちゃん。」
昌子「はい。」
糸子「大将から 葉書や。」
昌子「へ?! 大将から?!」
糸子「子供らに読んじゃって。」
昌子「そら 先生が 読んじゃったら ええやないですか。」
糸子「うちが読むより あんたが 読んだ方が 子供らには ええねん。」
昌子「はあ? ああ そうか 先生が読んだら 声に 余計な恨みが 籠もってまうよってなあ。」
糸子「要らん事 言わんでええさかい はよ 上 行き。」
<うちにとっては 腹立つ浮気亭主でも 子供らにとっては 恋しい お父ちゃんです>
2階 寝室
昌子「『優子 直子 そして おなかの子』。
<無事で帰ってきてくれんと 困ります>
昌子「『1月8日 父は 無事に…』。」
オハラ洋装店
<どうか無事で… いや… どんだけ変わり果てた姿に なったかて 帰ってさえきてくれたら どっさり食べさして ゆっくり寝さして 元気にさして>
糸子「ほんでから こってり 油 絞っちゃるんや! あ… あ~! ああ?! どないしよ~?! あ~。」
<ところで モンペ教室は 繁盛してました>
昌子「はい 次の方!」
「悪いけどな 今日は 1円しか払われへんやし あとは これで どないか 堪忍して もらわれへんかの?」
昌子「はあ ほな 今日だけ また 次 持ってきて下さい。」
「おおきに!」
昌子「はい。」
「こんにち…。」
昌子「はい! 今の人で 定員いっぱいです。」
「えええ? 何でよ? ちょっと 定員って 何人よ?」
昌子「8人です。 また 次 木曜あるんで そん時 来て下さい。 おおきに。」
「もう しゃあないな。」
昌子「すんません。」
「木曜やな!」
ヤス子「ちょっと うち 木曜やったら 間に合わへんやし。 隅っこの方で ええさかい 頼むわ なんとか座らしいてえな。」
昌子「せやけど 狭なるし 他のお客さんかて 場所…。」
ヤス子「頼むて~! このとおりや!」
昌子「いや せやけど…。」
ヤス子「な?!」