連続テレビ小説「カーネーション」第97回「隠しきれない恋」【第17週】

小原家

勝手口

優子「行ってきます。」

千代「行っちょいで~。 気ぃ付けてな。」

優子「うん。 ちょっと。 ちょっと 待ち! 何してんの? あんたら。」

「そっちこそ 何ば しよっとや?! おいん父ちゃんば 返せ! 返せ! 父ちゃんば 返せ! 返せ!」

糸子「はれ 優子。 お習字か?」

優子「うん。」

糸子「気ぃ付けて 行っちょいで。」

優子「うん。」

糸子『ただいま。』

千代『お帰り。』

オハラ洋装店

昌子「あ~ 来年も よろしゅう頼んます。」

「よろしゅうお願いします。」

「お願いします!」

テーラー周防

周防「う~ん…。 立派な店に出来たね。」

糸子「うん。 この机一つかて 張り込んだよって。 値ぇは張っても ええもんは 古なっても ええやろ? あれ 不思議やなあ。 時計かて 電気式やで。 ねじ式のやつは うっかり巻き過ぎたら 壊れてまうよってな。 あ そんで いつぞや 周防さんに 直してもうた事 あったな。 フフフッ あれも 恥ずかしかったなあ。 何で? うち… 何を間違えたん?」

周防「何も間違っとらんよ。」

糸子「周防さん…。 ほんまは… 自分の店なんか 持ちたなかったん?」

周防「うんにゃ…。 夢やったばい。 長崎に おった時から ずっと。」

<うちは 初めて 自分の看板を見上げた時 ごっつい うれしかった。 ごっつい ごっつい うれしかった 何が ちゃうんやろな?>

糸子「ごめんな 周防さん。」

周防「うん? うち 周防さんの夢 かなえたんやのうて 取ってしもたんやな。 そら 自分やのうて 女の金で 看板 あげてもうたかて 何も うれしないわな? 何や はよ言うてよ 周防さん。」

周防「い~や… でも ありがとう 糸子さん。」

糸子「うちは…。 周防さんを… ほんまに幸せには でけへんのやな。」

周防「おいも…。 おいも そうたい。」

周防「フフフフッ 長崎弁は 分かりにくかですか?」

糸子「う~ん…。」

周防「まだ?」

糸子「初めの頃は 難しかったけどな。」

周防「そうね。」

糸子「今は ちょっと分かんで。」

<その夜 うちは 生まれて初めて 無断外泊ちゅうのを しました>

(小鳥の鳴き声)

糸子「ほな 月々2,000円の返済 ちゅう事で。」

周防「はい。」

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