「すいません。」
るい「わっ! あっ…。」
宇宙人「出来てます?」
るい「はい。 よかったです。 取りに来てもろうて。 お名前う 聞き忘れてしもうたから。 ひとつき以上も来とられんから どねえしようか思よったんです。」
(指で カウンターをたたく音)
るい「(心の声)『な… 何? 早うせえいうこと? こっちがイライラするんじゃけど。』お待たせしました。」
和子「るいちゃん。 後で こっち お願い。」
るい「はい。 え~ 2,040円です。」
宇宙人「はい。」
るい「(心の声)『こねえな大金を無造作に…。 何で稼いだお金じゃ? 怖んじゃけど…。』はい。」
宇宙人「これ お願いしますね。」
るい「はい…。(心の声)『またじゃ…。 一貫性のねえ服の数々。 どのシャツにも ちいとる 胸のケチャップ。 何か 今回は丸首シャツが多いなあ…。 うん?』」
るい「お客さん ポケットに何か…。 はあ…。 また 名前う聞きそびれてしもうた…。 何じゃろう…。 見るんが怖え…。」
るい「ナット?(心の声)『…にしては 妙な形じゃなあ。 何かの部品じゃろうか? やっぱり 工場で働きょおる人?』
<宇宙人の正体の手がかりは 一向につかめませんでした>
居間
てる子「ごめ~ん! 今日 もう しまい?」
和子「あら 山崎さん。 ええよ。」
てる子「うちの人の冬もん 1枚出し忘れとったんやわあ。」
和子「はいはい。 え~っと ジャケットね。」
てる子「うん。」
和子「はい。 え~… あら 中に何か…。」
てる子「えっ? 『バー あや子』? もう あのぼんくら亭主! 大した稼ぎもないのに こないなとこ!」
和子「晩ごはんのおかず 1品減らしたり。」
てる子「いや 今日は 晩ごはん抜きや。」
和子「えらい厳しいな。」
てる子「あや子に食べさせてもうたらええねや。」
平助「ハハハッ あかん。 あそこのママの 出しよるもんは 食えたもんやあれへん。」
和子「あんた。」
平助「うん?」
和子「何で知ってんねん。 あんたも晩ごはん抜きや!」
平助「そんな殺生な…。」