連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第48話「1962-1963」【第11週】

幼かった私ゅう置いて… アメリカへ行ってしもうた。 じゃから 思い出しとうなかった。 優しかった頃の 私だけを見てくりょおった頃の 母の笑顔を 思い出しとうなかったんです。」

錠一郎「そうか。 会いたいんやなあ お母さんに。」

るい「な… 何ゅう言よんですか? 人の話ゅう 聞きょおりました?」

錠一郎「聞いてたよ。」

るい「それで よう そねえなこと…。 はあ…。 もうええ。 ああ もう。 何で こねえな人に話してしもうたんじゃろ。」

錠一郎「サッチモちゃん?」

るい「もう 早う こりょう着て帰ってください。」

錠一郎「まだ乾いてないって。」

るい「生乾きのシャツう着て帰りゃあええ…。」

平助「るいちゃん。 冷たいもんでも どうや。」

和子「お客さんも どうぞ。」

るい「お客さんは お帰りです。」

錠一郎「ありがとうございます。」

和子「よかったら 晩ごはんも食べていってちょうだいね。」

るい「おばさん!」

錠一郎「いいんですか?」

和子「晩ごはんいうても 今日は お祭りのもん並べるだけやけど。」

平助「やっぱり 祭りの夜は にぎやかなんが一番やからな。」

和子「ああ せやせや。」

平助「何で?」

和子「何で?」

(笑い声)

居間

和子「ホンマに買うてきたもんで堪忍やで。」

平助「はい。 1杯どうや?」

錠一郎「ああ… すいません。 飲めないんです。」

平助「ええっ! ジャズマンやのに?」

和子「えっ!」

錠一郎「ああ… まあ…。」

西山「邪魔するで~。」

平助 和子「邪魔するんやったら帰って。」

西山「ハハハハハッ。 あ~ これ。 商店街から いつもの。」

和子「ああ ありがとう。 近所の映画館の西山さんや。」

錠一郎「ああ どうも。」

西山「ああ どうも。 今度 2人で見に来てや。」

和子「いらんこと言わんでええねん。」

西山「なっ なっ なっ。」

和子「何やねん。 用事済んだら帰って。 ハハハハハッ。 ああ これや これや。」

平助「ああ ああ…。」

テレビ『大阪の若者が快挙達成です。 アメリカに行くという夢を持ち 小型ヨットで出航した 大阪の堀江謙一君が 8月12日 ついに夢の土地 アメリカ・サンフランシスコに到着。 見事 太平洋横断を達成しました』。

和子「むちゃすんなあ。」

平助「男の夢と言え。 なあ? え~…。」

錠一郎「お… 大月です。」

平助「ああ せやった。 大月君。」

和子「失礼やなあ もう。 ごめんな 大塚君。」

錠一郎「大月です。」

平助「お前の方が失礼や。」

和子「わざとや。」

平助「ホンマかいな。」

和子「ほら 早う。 冷めてしまうから頂こう。」

錠一郎「頂きます。」

るい「頂きます。」

和子「頂きます。」

平助「足 崩しい。」

錠一郎「ああ… すいません。」

和子「このおいなりさん おいしいんやで。」

平助「ちょっとだけ飲まん?」

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