休憩所
一恵「ぎょうさん有名な人の名前あるえ。」
榊原「ハハッ そら 大型企画やからな。」
すみれ「虚無さんが受けるって聞いた時は 驚いたけど まさか最終選考まで進むとはねえ。 見ものだわ。」
榊原「僕がびっくりしたんは五十嵐君です。 まだ養成所出たばっかりやのに 先輩ら押しのけて合格するとはなあ。」
中庭
ひなた「それがしが相手になって進ぜよう。」
五十嵐「なれるか。」
ひなた「私 うまいんやで。 子供の頃から 一人で立ち回りしてたんやから。」
五十嵐「子供の遊びじゃないんだ。」
ひなた「分かってる。 本気でやるえ。」
五十嵐「邪魔すんな。」
ひなた「あっ。 もう…。 痛~。」
大月家
回転焼き屋・大月
ひなた「何や ごじゅうあらしが 落ちてしもたらええんや。 せっかく人が 何か力になったろ思てんのに。 ただいま。」
るい「お帰り。」
回想
五十嵐「あったかくて 甘いあんこの味が広がって 生き返った気がした。 気合い入れたいと思う時ここの回転焼きが食べたくなる。」
回想終了
ひなた「お母ちゃん。」
映画館
場内
『暗闇でしか 聴こえぬ歌がある』。
『黍之丞 見参』。
回想
団五郎「父さん。 一体 何を考えてるんですか。 よりによって どうして あんな無名の大部屋を…。 父さん!」
初代剣之介「どうして? お前より よほどいい役者だからだ。」
回想終了
俳優会館
休憩所
<いよいよ 最終選考が 明日に迫りました。 最終選考では 2人一組で 黍之丞 対 左近の殺陣を 披露することになるのですが…>
五十嵐「うそだろ…。」
虚無蔵「文四郎。 では 明日。」
五十嵐「はい…。」