ひなた「すいませ~ん。 焼きみそ追加で。」
「は~い!」
すみれ「っていうか あんた 全然 飲んでないわね。」
ひなた「未成年です。」
すみれ「さっさと成長しなさいよ! 気が利かないわね!」
ひなた「すいません。」
俳優会館
道場
五十嵐「くっ!」
虚無蔵「ふん。 ふん。 ふん!」
五十嵐「はっ! あ…。」
虚無蔵「集中しておらんな。」
五十嵐「はあ… すいません。」
虚無蔵「今日は ここまで。」
五十嵐「はい。 ありがとうございました。」
(足音)
五十嵐「はあ…。」
そば処・うちいり
榊原『あっ 大月さん? どないしたん? お茶の稽古行ったっきり 戻ってきいひんし。』
ひなた「すみれさんに うちいりに引っ張ってこられて…。」
榊原『また機嫌悪いんか?』
ひなた「ちょっと…。」
すみれ「ハッ!」
榊原『堪忍な。』
ひなた「それはいいんですけど 会報づくり まだ済んでなくて…。」
榊原『僕がやっとくわ。』
ひなた「あっ いやいやいや! 私がやります。 明日でよろしいですか?」
榊原『うん。 それは構へんけど…。』
ひなた「あ…。 それと… あの…。」
榊原『うん?』
ひなた「まだ道場に 誰か いはります?」
榊原『えっ? いや さっき見た時は 電気消えてたわ。』
ひなた「ああ… そうですか…。」
すみれ「ひなた! いつまで私をほっとくつもり!」
ひなた「すいません ただいま! 失礼します。」
野田家
茶室
一恵「お茶わんは 右手前 左横 右横の三手で。 それは 右手から。 正面は 向こう側に。 それは時計回り。」
ひなた「お点前 頂戴します。」
すみれ「どうぞ。」
一恵「もういっぺん。 もういっぺん。 もういっぺん。 もういっぺん。 もういっぺん。」
ひなた「はあ~。」
そば処・うちいり
すみれ「大体さあ あのまどろっこしい作法は 何のためにあるわけ? お酒みたいにさ とっくりから おちょこに注げば いいんじゃないの 手酌でさ。 フフフッ。」
ひなた「『酒蔵杜氏殺人事件』に 変えてもらいましょか?」
すみれ「いいわね!」
ひなた「冗談です。」