桃太郎「えっ?」
勇「るいは 野球の塁からとった 名前じゃからのう!」
桃太郎「あっ そうなんですか。」
るい「…と叔父さんは信じてはんの。」
錠一郎「ああ…。」
勇「おっ! おおっ!」
桃太郎「おっ。 やっぱりスクイズや。」
勇「やったあ! 関西1点先取じゃあ! おう 入れ。 早う こけえ座れえ。 え~っと…。」
錠一郎「あっ 娘のひなたです。」
ひなた「こんにちは。」
勇「ひなた。 ええ名前じゃが。 ああ はよ 座れ。 座れ 座れ。」
テレビ『ピッチャーが捕って ここで投げていれば クロスプレーかという場面では ありましたが…』。
るい「雪衣さん?」
雪衣「るいちゃん…。 お帰り。」
るい「ただいま帰りました。」
客間
雪衣「ごめんね。 久しぶりじゃいうのに 勇さん あの調子で。」
るい「いえ。 かえって安心しました。 全然変わってはらへんから。」
雪衣「どうぞ。 うれしいんじゃろうねえ。 昇は昔から野球に興味ねえし 孫も おなごの子ばあじゃから。」
るい「孫て 昇ちゃんの子?」
雪衣「うん そうじゃ。 出勤に便利じゃからいうて 会社の近くのマンションに 家族で住んどる。」
るい「会社 順調みたいですね。」
雪衣「おかげさんで。 るいちゃんが使よおった部屋も 残っとるけど こっちの方が広えから。」
るい「ありがとうございます。」
るい「算太伯父さん。 岡山 帰ってきたよ。 久しぶりでしょ。 ゆっくり くつろいで。 聞いてます。 橘の家のお墓 あれからずっと 勇叔父さんと雪衣さんとで 世話してくれてはるて。 ありがとうございます。 明日… 算太伯父さんのお骨も 納めさしてもらいます。」
雪衣「あ…。 あっ…。 私のせいなんじゃ。 あの時… 算太さんが おらんようになってしもうたんは… 多分 私のせいなんじゃ。」
るい「どういうことですか?」
雪衣「算太さんは 優しい人じゃった。 私ゃあ 女中の立場もわきまえんと ずっと勇さんを思ようった。 一度は諦めたんじゃ。 そねえな時 算太さんが…。」
るい「算太伯父さんらしい…。」
雪衣「算太さんは 安子さんと一緒に たちばなを立て直すつもりで お金ょお たみょおったんじゃ。」
回想
算太「雪衣ちゃん。 店を始める家が手に入ったら… そこで わしと 一緒に暮らしてくれんか?」
回想終了