夜ドラ「ミワさんなりすます」(第23回)

玄関

越乃「はい ありがとう。」

八海「お忙しいところ ありがとうございました。」

越乃「いえ はっちゃんのためなら いつでも。」

八海「また 映画の話をしましょう。」

越乃「うん。 この先の仕事は いつまで決まってんの?」

八海「ああ… まだ来年以降は決めてないです。」

越乃「えっ 一つも?」

八海「ええ…。」

越乃「あっ やだ。 私 ヤバいこと聞いちゃった? (小声で)ちょ… これはNGね。 ダメだよ。 分かった? 分かった? じゃあ また飲みましょう。」

八海「お疲れさまでした。」

越乃「は~い。 じゃあ またね。」

八海「ありがとうございます。」

越乃「は~い。 バイバイ。」

キッチン

池月「八海さんがアメリカに行ってたとか 知らなかった。」

ミワ「アメリカで修業積んでる時に シラー監督に出会って そこで作った映画が 『コーヒー&ブルース』なんです。」

池月「へえ~ そこでブレークしたんだ?」

ミワ「はい。」

池月「まずは アメリかで評価されて そこから 日本でも 八海 崇の名前が広がって 東京ロマンス三部作につながるっていう。」

池月「そうなんだ。」

ミワ「はい。」

一駒「ミワさんって 本当に詳しいですね。」

ミワ「あ…。」

<まずい 調子に乗りすぎた>

ミワ「今回 密着取材ということで ちょっと調べたんです。」

一駒「ファンなんでしょ?」

ミワ「あっ えっと…。」

一駒「熱烈な八海 崇ファンなんでしょ?」

池月「あっ やっぱり そうなんだ。」

ミワ「えっ…。」

一駒「いいのよ 私たちには隠さなくても。 藤浦さんの前では気を付けて。」

ミワ「はい 気を付けます…。」

(オーブンの音)

ミワ「あっ 私 出します。」

<一駒さん… 私のことを ほぼ見抜いた上で それでいて 的確なアドバイスをくれる。 ありがたき存在>

スタッフ「すいません。 インタビューが終わったので このあと少しだけ 家政婦さんのお仕事も カメラ回していいですか?」

池月「はい。」

一駒「構いませぬが。」

ミワ「えっ カメラ…。」

ナレーション『美羽さくらさんは たとえ意味がなくても ニンジンの花の形に切る。 これぞ 家政婦のプロフェッショナルである』

<まずいまずい テロップで名前が出たら 他人になりすましていることが バレてしまう。 映ってはいけない>

ミワ「すいません! 私 あの ちょっと 片づけ行ってきます!」

スタッフ「こっちは もう終わった状態なんですか。」

リビング

ミワ「失礼しま~す。」

スタッフ「ねっ 一応 これ撮っといて。」

カメラマン「分かりました。」

ミワ「失礼しま~す!」

スタッフ「一応 空でも おさえとこうか。」

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