連続テレビ小説「なつぞら」第102話「なつよ、テレビ漫画の幕開けだ」【第17週】

喫茶店・リボン

なつ「どうだった?」

桃代「思ってたより 絵は動いてたんじゃない?」

店員「お待たせしました。 サンドイッチと チキンライスでございます。」

なつ「そう? 私なんか テレビ見てたら やっぱり動きが ぎこちないなって。」

桃代「あっ… そんな中でも なっちゃんらしいなって思うところも たくさんあったよ。 モノクロじゃなければ 私が 色を塗りたいくらいだけど。」

なつ「私より 猿渡さんって人がすごいの。 もう パパッと描いちゃう。」

桃代「それじゃ 順調なんだ?」

なつ「それが そうでもないんだよ…。 問題は やっぱり あの人よ。」

東洋動画スタジオ

作画課

荒井「あんた ええ加減にせえや! あんたの要求 聞いとったら みんな 4,000枚ぐらい 描かなあかんことにあるやないか! あの『鉄腕アトム』見てみいな あれ 1,000枚前後で 出来てるっちゅう話やぞ。」

坂場「『鉄腕アトム』という 作品の魅力があっての話です。 うちは うちらしい個性を出さなければ 太刀打ちできないでしょう。」

荒井「放送でけへんかったら 意味ないやろ! このままやったら ひとつきで 放送でけへんようになるぞ!」

なつ「荒井さん! 大丈夫です。 私が なんとかしますから。」

荒井「なんとかするって お前 そんな簡単なこと… どないすんの?」

なつ「これから描く予定の原画を見直します。 例えば ここの トラ同士が仲間割れをして 喧嘩をするシーン ですけど…。 こういう乱闘シーンは手間がかかるので こんなふうに 土煙で覆ってしまうんですよ。 この煙だけを モコモコと動かして 煙の中から 面白いポーズや表情をした トラの止め絵が飛び出してくるんです。」

茜「ああ… それで 喧嘩を表現しちゃうんだ?」

坂場「これは…。」

猿渡「それは いいアイデアだよ なっちゃん!」

なつ「猿渡さんのやり方を見ていて 思いついたんです。 あっ それから サムが トラをやっつけるシーンですが やっつけるサムの画に 画面いっぱいに 星だけ出しちゃうんですよ。 その次の瞬間に 伸びてるトラを見せれば サムの強さも表現できます。」

一同「あ~…。」

なつ「まあ テレビは 小さな子どもも見てますから これは 手を抜くというよりも 暴力を振るう場面を なるべく見せたくないんです。」

茜「そうよね。 それで枚数も少なくできれば 一石二鳥ね。」

猿渡「すごいよ なっちゃん!」

なつ「でも そのかわり ちゃんと丁寧に見せたいところには 枚数をかけられるようにしたいんです。 イッキュウさん 思い切って こういうことを やってはいけませんか?」

坂場「それを決めるのは あなたです。 私は それを 最大限 生かせるように 話の内容を考えてゆきます。」

なつ「はい! それじゃ 皆さん よろしくお願いします!」

一同「はい!」

荒井「よっしゃ ほな それでいこう! よっしゃ!」

雪月

妙子「ありがとうございました。」

<そして そのころ 北国では。>

妙子「いらっしゃい…。」

雪次郎「ただいま。」

妙子「雪次郎…! 何さ あんた 帰るなら帰るって 知らせてくれたらいいしょや。」

雪次郎「うん…。」

妙子「父さんと ばあちゃんに知らせてくる。」

回想

蘭子「あの人の分も生きて 演じてほしいのよ。 頑張ってほしいの これからも。」

回想終了

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