東洋動画スタジオ
作画課
坂場「題名は まだ仮ですが 『神をつかんだ少年クリフ』です。 ある村の巨大な木に 誰にも抜けない剣が突き刺さっています。 それを ある日 一人の少年 クリフが引き抜き 村人から英雄と見なされます。 しかし そのクリフの前に神が現れて その剣を砕いてしまう。」
坂場「その神とは 戦の神であり つまり 死神です。 死神の目的は 神を畏れなくなった人類に 戦をさせて滅ぼし もう一度 世界を創造し直そうということです。 そして その村に 死神の娘であるキアラが現れます。 キアラは 父の命令で この村に 戦をもららそうとしてるんです。」
坂場「そのキアラとクリフが出会い お互いに ひかれ合うようになっていく。 戦争という運命の中で どうやって 人間が 善と悪を見極めていくか それがテーマです。 では 引き続き キャラクターを 検討していきたいと思います。 まずは クリフから。 クリフは 決して諦めない 勇気ある少年です。」
<しかし その勢いは すぐに止まりました。 なつが描く 死神の娘 キアラのキャラクターに イッキュウさんは なかなか納得せず 脚本作りは 予定の8月になっても まだ作画の作業には入れずにいました。>
なつ「違う? どこが違うんですか?」
坂場「キアラは 戦をつかさどる神の娘で この村の争い事をさせに来たわけですが これだと いかにも災難をもたらしそうな 娘って感じがするじゃないですか。」
なつ「もっと か弱い方がいいってことですか? みんなが だまされやすいような キャラにしろってことですか?」
坂場「いや 強くは見せたいんですよ か弱い女の子にはしたくない。」
神地「一見 か弱そうに見えて 実は強かったなんて それこそ 通俗的だからね。」
坂場「しかし これは強すぎます。」
神地「強い女性だけど 主人公が 恋に落ちるような魅力もないとさ…。」
坂場「神っちの言うとおりです。」
仲「どう? 何か困ってる?」
なつ「仲さん…。」
坂場「いえ 大丈夫です。」
神地「大丈夫ですよ。」
仲「大丈夫?」
なつ「はい…。」
仲「少し内容が難しすぎないかな。 子どもたちが ついていけるかな。」
坂場「大丈夫です。 ちゃんと活劇にはしますから。」
仲「アクションが面白ければ いいというものでもないからね。」
坂場「話が分かりやすければ いいというものでもないでしょう。」
なつ「ねえ ちょっと…。」
仲「そうかな。」
なつ「あの 仲さん…。」
坂場「ほかに 何か?」
仲「いや…。」