連続テレビ小説「なつぞら」第110話「なつよ、開拓者の郷へ」【第19週】

なつ「うん ハハ…。」

雪之助「あ~ いらっしゃい。」

なつ「あ~!」

門倉「おお… 奥原!」

なつ「よっちゃ~ん!」

良子「なっちゃ~ん!」

なつ「なして よっちゃん! なして 私を置いて こんな人と結婚したの!」

門倉「えっ?」

良子「ごめんね なっちゃん…。 なっちゃんがいなくて つい寂しくて… 魔が差したの!」

門倉「ええ?」

なつ「よっちゃ~ん!」

良子「なっちゃ~ん!」

倉田「まあ いいじゃないか 一緒には なれたから。」

門倉「そうっすね…。」

倉田「な。」

雪次郎「はい どうぞ。」

なつ「ありがとう 雪次郎君。 ここで みんなに会えるとは 思わんかったわ。」

雪次郎「なんも なんも。」

門倉「お前 天陽は呼ばなかったのか?」

雪次郎「えっ?」

良子「バカでないの あんたは!」

門倉「あっ すまん…。」

なつ「なんも なんも。 もちろん 天陽君にも会いたいと思ってんのさ。 あっ この人も 天陽君の絵が好きなんだわ。」

坂場「はい。 できれば たくさんの絵を見たいと思っています。」

倉田「あいつは 今や 立派な画家だ。 あっ もちろん 職業的にという意味ではなくな あいつの生き方そのものが画家なんだ。 土を耕し 牛の乳を搾り 家族と生きている その手から自分の作品を生み出している。 したから あいつの絵は 純粋で尊いんだ。」

雪次郎「あっ 天陽んとこ おととし 男の子が生まれたんだわ。」

なつ「知ってる… よっちゃんのとこは 2人いるんだっけ?」

良子「気付かないと思うけど 今 ここに3人目。」

なつ「いや… たたいちゃダメっしょ!」

門倉「雪次郎 お前もグズグズするな。 いつまで 一人でいるつもりだ。 根性入れて 相手を探せ! ねえ おばさん。」

妙子「本当。 もっと言ってやって。」

雪次郎「俺は いんだよ。 まだ。」

門倉「何で?」

雪次郎「寄り道したから まだ半人前だ。」

なつ「フフッ。 あっ 倉田先生。」

倉田「うん? 農協が 今度 自分でバターを製造する 乳牛会社を 作ろうとしてるみたいなんです。」

雪次郎「バターを?」

倉田「奥原も聞いたか。 いいかい? これは 非常に画期的なことなんだ。 農民が 企業を頼らずに 自ら作った乳製品を 消費者に届けようとしているんだからな。」

門倉「北海道の牛飼いは 8割から9割が赤字経営だ。 喜子の家の牧場 俺が継いでよく分かった。」

良子「メーカーが買う北海道の牛乳は ほとんどが バターとかの加工用で 安いんだわ。」

門倉「柴田牧場だって 楽じゃねえべさ。」

なつ「そうなんだ…。」

倉田「だから 農協自ら 工場を作ろうとしているのさ。 まあ それこそ 田辺組合長の言っていた 酪農王国への道なのさ。」

なつ「酪農王国…。」

回想

田辺「この十勝全体を 全国一の酪農王国にしたいんだ。」

回想終了

雪次郎「それを 夕見子ちゃんもやってるんだな。」

なつ「うん。」

音問別農協

(ノック)

夕見子「組合長 大変です!」

田辺「どした? 夕見子さん。」

夕見子「国から横やりが入りました。」

田辺「横やり?」

夕見子「十勝の市町村長宛てに 集約酪農地域についての速達文書が 届いたみたいです。」

田辺「それは 十勝全体を集約酪農地域に 指定するということかい?」

夕見子「そういことです。 それも 今日届いたのに その返答を あさってまでに しなくちゃならないそうです。」

田辺「あさって? あさっては日曜でないかい!」

夕見子「そうです。 ほとんど こっちには時間がありません。」

剛男「組合長 どうしますか? これは どう考えても 工場建設に対する妨害です!」

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