妙子「今日は 映画を見に行ったそうですよ。」
とよ「あれ 2人で?」
妙子「うん なまら いかったそうですよ。」
とよ「映画は 何だっていいのさ 2人には。 ねえ。」
なつ「ハハハ… 本当 同じこと言いますね。」
妙子「ご注文は?」
なつ「う~ん 寒いから あったかい紅茶を。」
天陽「僕 コーヒーで。」
妙子「はい かしこまりました。」
とよ「フフフ… どう? じいちゃんは元気?」
なつ「元気です。」
とよ「相変わらず 苦~い顔して 砂糖なめてんの?」
なつ「ハハハ… なめてませんよ。」
とよ「ものの例えっしょ。 あれ やだ 私 邪魔だわね。 邪魔でしょ?」
なつ「いいえ。」
とよ「聞かれて 邪魔だって人はいないわよ。 邪魔 邪魔。 ハハハ… じゃ また後でね。 ハハハハ…。」
なつ「後で また来るんだ ハハハ…。」
天陽「ハハハ…。」
なつ「あ~ 本当いかったよね 映画。 ねえ。」
天陽「何度も聞くなよ。」
なつ「だって あんなふうに 音楽を表現できたり 地球の誕生から 恐竜の時代までを表現したり アニメーションって 何でもできるんだね。」
天陽「うん… 何でもできるってことは 何もないのと同じだよ。」
なつ「ん? どういう意味?」
天陽「何でもできるってことはさ 何もない広い土地に行くのと 同じことだからな。 自分で 土を耕す方法を覚えて 作れる種を見つけて それを手に入れないと 何もできない。 なっちゃんはさ それでも行きたいと思うのか? そういう土地に。」
なつ「そうか… そういうことか…。 そういうことだよね! やっぱり 天陽君 すごいな。」
天陽「何が?」
なつ「私の悩んでることに 簡単に答え出しちゃう。 無理だよね そんなの。 私が そんなところに行けるわけがないわ。 酪農だって 中途半端なのに。 うん… 私ができるわけがない アニメーションなんて。」
天陽「なっちゃん…。」
なつ「うん?」
天陽「本当は行きたいんだべさ?」
なつ「ハハ… 無理 無理 無理 無理!」
<なつよ そんな顔で笑うな。 天陽君も つらいぞ。>