連続テレビ小説「なつぞら」第49話「なつよ、夢をあきらめるな」【第9週】

厨房

雪次郎「お願いします。」

なつ「はい。」

雪次郎「どうだった?」

なつ「何が?」

雪次郎「試験。 受けたんだべさ?」

なつ「受けた。」

雪次郎「そんで?」

なつ「結果は まだ。」

雪次郎「ううん 手応え。」

なつ「絵は ちゃんと描けたと思う。 ただ 面接が…。」

雪次郎「面接か…。」

なつ「緊張したからね。」

雪次郎「ああ 分かる。」

なつ「何 しゃべったんだか…。」

雪次郎「FFJは歌わんかったべ?」

なつ「歌わねえさ そんなもん。」

雪次郎「そんなら大丈夫だ。」

なつ「けど… 大きな会社が 戦災孤児だった私を 採ってくれるかどうか…。」

雪次郎「んなこと関係ねえべよ! そったらこと あっか? もし んなことあったら 柴田のじいさんも おじさんも おばさんも 怒るべや。 怒りに震えるべさ。」

なつ「ごめん。 余計なこと言った。」

雪次郎「ま 余計なことは考えんな。」

東洋動画スタジオ

会議室

仲「井戸原さん。」

井戸原「うん?」

仲「ちょっと これ見て下さい。」

井戸原「ん 何だよ? えっ? お~ いいんじゃないの。 絵は この中じゃ 下手な方だけど 馬が 一番 キャラクターになってる。 何より面白い。」

仲「そうでしょ? 何か いいんですよね この子。 まあ まだ 絵は未熟ですけどね。」

おでん屋・風車

なつ「こんばんは。」

亜矢美「あ~ おばんでござんす。」

なつ「茂木社長。 こちらにも いらしてるんですか?」

茂木「おう。」

亜矢美「社長はね 新宿だったら どこだって出没なさるから。」

茂木「川村屋じゃ お酒が出ないんでね。」

なつ「もう閉まってますし。 川村屋には 昼間にいらして下さい。」

茂木「バターカリーと マダムが 恋しくなったら行きますよ。」

なつ「バターカリーなら 待ってると思います。」

茂木「お 随分 新宿に なじんできたな なっちゃん。」

なつ「そですか? まだ 何もしてません。 時間だけが あっという間に過ぎています。 私は その時間に 取り残されているだけのような気もします。」

茂木「ほら 新宿に来ると みんな そうやって詩人になるんだよ。」

なつ「今のがですか?」

茂木「ああ。」

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