連続テレビ小説「なつぞら」第80話「なつよ、十勝さ戻って来い」【第14週】

柴田家

居間

富士子「大丈夫? 何かあったの?」

千遥「いえ… 大丈夫です…。 すみません…。 私 昔のことは… 姉や兄と一緒にいた頃のことは あまり よく覚えていないんです。 ところどころ はっきり覚えているんですけど… それが いつの記憶で どういう時のことだったのか 細かいことは 思い出せないことが多くて…。」

富士子「無理もないわ…。 5歳までだったんでしょ? 咲太郎さんや なつと一緒にいたのは…。」

剛男「忘れてしまいたいような つらいことも多かったろうしな。」

千遥「でも 今… 電話で 声を聞いたら… その途端に 私の姉だと分かりました…。 兄の声だと分かりました…。 そのことに 何だか驚いてしまって… 何て言えばいいのか 分からなくなって…。」

富士子「そう… そだったの。」

泰樹「相手の顔が見えん電話は わしも好かん。」

富士子「好き嫌いは どうでもいいでしょや。」

剛男「けど 向こうは心配してるんでないかい? 急に 電話が切られてしまって…。」

明美「そだね。 私だって びっくりしたも。」

千遥「すいません… こちらから もう一度 電話をかけてもいいでしょうか?」

おでん屋・風車

1階店舗

なつ「はい。」

『筆界同音問別4141番からです。 お待ちください』。

なつ「はい!」

『どうぞ』。

なつ「もしもし! 千遥ちゃん?」

千遥『先ほどは すみませんでした…。 お姉ちゃん?』

なつ「千遥… 声が すっかり大人になったね…。 あ… それは お互いか…。 ねえ 千遥… お願いだから そこで待ってて。 今すぐ行くから…。 どうしても 千遥に会いたい…。」

千遥『分かりました…。 私も… 会いたいです。』

<なつよ その瞬間に はっきりと 家族の時がつながった。>

なつ「千遥…。」

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