連続テレビ小説「なつぞら」第85話「なつよ、ワクワクが止まらない」【第15週】

剛男「車?」

夕見子「うん すぐそこまで送ってもらったから。」

富士子「誰に?」

夕見子「大学の友達。 ドライブのついでだったからね。」

剛男「男の人かい?」

夕見子「まあ… 性別で言ったら 男でないのかい。」

剛男「本当なのかい?」

富士子「どういうつきあいなの?」

夕見子「そんなことより なつ 千遥ちゃんは どうしたの?」

なつ「えっ?」

夕見子「千遥ちゃんが ここに来たんでしょ?」

なつ「今は… いない。 千遥は 自分の場所に帰ったわ。」

夕見子「千遥ちゃんって 年いくつだっけ?」

なつ「今 18。」

夕見子「18で結婚? 結婚するから もう なつにも 咲太郎さんにも会えないっていうの?」

なつ「それは しかたないしょ…。」

夕見子「しかたないって 何がさ? 大体 自分の望んでる結婚なの? それ。」

なつ「どういうこと?」

夕見子「周りが 勝手に望んでるだけで 千遥ちゃんは しかたなく そういう流れに 乗っかってるんじゃないかってことよ。」

照男「おい 勝手なこと言うなや。 なつを 不安にさせてどうすんだよ。」

明美「人の心を ひっかき回すな!」

なつ「私は それが千遥の意志だって 信じてるから。」

夕見子「18で結婚することが そもそも 女の意志って言えんのかい?」

富士子「18だったら 十分 お嫁に行く年だべさ。」

夕見子「それ! 母さん 今 つまんないこと言った。」

富士子「はあ? つまんないこと!?」

剛男「それは言っちゃいかんだろ 夕見子! あ…。」

夕見子「いいですか 皆さん 女が 子どもを産んだら母親になる。 これは 当たり前の話。 したけど その前に 誰かの妻になる。 よそのうちの嫁になる。 自分ではない ほかのものになる。 そういう固定観念を 生み出しているものを疑わなければ 女は いつまでたっても 自由には生きられないと 私は言ってんのです。」

照男「俺は 砂良のこと 俺のもんなんて思ってねえからな。」

砂良「えっ 私は あんたのものじゃないんだ?」

照男「いや 俺のもんだ…。」

砂良「どっち?」

なつ「もう いいでしょや そったらことは。」

夕見子「ダメだ。 もっと普通を疑え なつ!」

富士子「いい加減にして 夕見子。」

咲太郎「ハハハハ…。」

なつ「お兄ちゃん。」

咲太郎「いや 面白いな。 なつは 本当に面白い家で育ったんだな。」

なつ「そう? 普通の家族しょ。」

咲太郎「いや 普通じゃないと思うぞ。」

子供部屋

夕見子「これを 千遥ちゃんが… へえ…。」

明美「さすが なつ姉ちゃんの妹だべさ。 絵がうまいっしょ。」

夕見子「うん。」

明美「やっぱり 私とは大違いだわ。」

なつ「そったら寂しいこと言わんでよ 明美ちゃ~ん!」

明美「やめれ~!」

なつ「明美ちゃ~ん!」

夕見子「不思議だね…。 お父さんの手紙は知らないんでしょ?」

なつ「えっ?」

夕見子「ほら あんたが そこに貼ってた 戦死したお父さんの手紙にあった絵さ。 それを知らないのに 千遥ちゃんも 同じことをしてたってことだべ?」

なつ「お兄ちゃんも 東京で描いてたのさ 家族の絵を。」

夕見子「咲太郎さんも?」

なつ「お父さんのまねをして…。」

夕見子「へえ…。 何だか あんたが絵描きになるのも 必然だったんだね。]

スポンサーリンク







シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク