高山「コルトレーンか ガーランドがあれば かけて下さい。」
亜矢美「コッタラネージャー カワランド…?」
高山「新宿は 今や モダンジャズの街になりつつあります。 それを知らなきゃ古いですよ。」
なつ「ちょっと 古いって どういうことですか?」
亜矢美「いや… 本当 古いで~す。 はい ムーランの生き残り…。」
なつ「人それぞれ 大事にしているものが あるのは 当たり前じゃないですか。 それそ 人に古いと言われるのは おかしいですよ。」
高山「君は それでも 映画を作ってる人?」
なつ「は?」
高山「音楽も映画も 時代によって 変わっていくのは 当然のことだべさ。 それに気付かず 古いものに固執することを 古いと言って何が悪いんだ? したけど ダメとは言ってない。 君の言うとおり 人それぞれだからね。 やっぱり いつものジャズ喫茶で待ってるよ。」
夕見子「あっ うん 後で行く。 ここは払っとくから。」
亜矢美「あっ これ持ってけば?」
なつ「えっ ごめん 何か怒らせた?」
雪次郎「いや なっちゃんが怒るの当然だわ。 あの人の言ってることは 分からんでもねえが 言い方ってもんがあるべ。」
レミ子「あんたも 言い方なまってるよ!」
夕見子「あの人 ある金持ちの跡継ぎでね 親の決めた いいなずけまでいるの。」
亜矢美「それで 卒業前に 2人で逃げてきた?」
夕見子「逃げたというより しがらみの外へ 踏み出したと言って下さい。」
東洋動画スタジオ
作画課
下山「おはよう。」
「おはようございます。」
「おはようございます。」
下山「おはよう。」
一同「おはようございます。」
下山「あっ おはよう。 みんな 早いね。 あっ 今日から 僕も 原画を描かせてもらうよ。」
なつ「えっ 手伝ってくれるんですか?」
麻子「どうしてですか?」
下山「そんな 時間もないしさ… とにかく この短編映画は成功させないと。」
なつ「どうかしたんですか?」
下山「いや… 子どもが純粋に楽しめるような 面白アクション満載の 『ヘンゼルとグレーテル』にしようと思って…。 いいよね? いいよね? それで… ね。」
なつ「はい…。」
麻子「何があったんですか?」
下山「イッキュウさんが ちょっとね…。」