居間
周造「大変だ! はな 熱出しただ!」
ふじ「えっ! 朝 ぬれて帰ってきたから 風邪ひいたずらか! はな 大丈夫け。 ああ 水 水。」
はな「(荒い息遣い)」
ふじ「ああ… また 熱が上がったみてえじゃん。 困ったよ…。」
<はなは 罰が当たったと思いました。 朝市を置き去りにして 自分だけ逃げて帰ってきた罰です。>
寅次「うう~! う~ん! 牧師様! 教会で悪さしたボコは ここんちにいるずら。」
森「ど~れ。」
寅次「ほこのボコ 出てこう!」
森「出てこないと こうだぞ!」
はな「キャ~! やめてくりょう!」
森「お前は 友達を置いて逃げた ひきょう者だ!」
<想像の翼は いつもは はなを勇気づけてくれますが 時には こんなふうに 恐ろしい幻想の世界に 迷い込んでしまう事もあるのです。>
はな「ごめんなさい… ごめんなさい…。 ひきょうもんは おらでごいす…。 本の部屋さ行って おらだけ逃げちまって…。」
ふじ「本の部屋? 何ずら?」
はな「牧師様… 許してくれろし…。 助けて おとう…。」
周造「おとうは 帰ってこんから じぃやんで我慢しろ。」
はな「おとう… おとう…。」
労働者の集会
<その おとうは…。>
浅野中也「我々 労働者は 過酷な労働を強いられ 生活は 一向に改善しない!」
一同「そうだ!」
<労働者の集会に参加していました。>
浅野「労働者の権利を保護する法律を 作るべし!」
一同「法律を作るべし!」
浅野「労働者教育の充実を図るべし!」
一同「充実を図るべし!」
安東家
玄関
<はなの熱は 2日たっても下がりませんでした。>
吉平「よう 朝市。 何しとるんじゃ。」
朝市「あっ おじさん 大変じゃん! はなが…。」