連続テレビ小説「ちむどんどん」117話「ゆし豆腐のセレナーデ」

山小屋

智「この小屋まで来れば すぐ帰れる。 ちょっと 休んでいこう。 俺は もう 大丈夫だから。」

歌子「あっ ここに…。」

智「ごめんな。」

歌子「うちの方こそ。」

智「クッソ…。」

歌子「やっぱり うちは子供だね。 また やっかいを。」

智「何言ってる 俺は やっかいとか…。」

歌子「結局 うちは そういう星のもとに生まれたわけ。」

智「大げさなこと言うな。」

歌子「大げさじゃない。 東京で 暢ネーネーのお店を 辞める時も デージ忙しい時に熱出して さんざん みんなに迷惑かけて…。」

智「誰でも そういう時がある。」

歌子「あの時 沖縄に向かう飛行機の中で しみじみ考えたさ。 うちは ネーネーたちみたいに 働いたり 家庭を持ったりはできない。 これから先 ずっと1人で 生きていくしかないって。 うちは… うちは 生きている間に レコードを 一枚でも出せたら それで満足。 思い残すことはない。 ほかは もう諦めてる。」

智「諦めるな。 歌子は 幸せになれる。 両方つかめばいいさ。 夢も 結婚も。 もっと 欲張りになれ。」

歌子「しょっちゅう熱を出す女を お嫁にもらってくる人なんか…。」

智「いる。」

歌子「どこに? 智ニーニーこそ 早く いいお嫁さんを見つけて 幸せになればいいさ。」

智「俺が 幸せになるには 好きな人と結婚しないと。」

歌子「好きな人って? 誰ね?」

智「ずっと 言えなかった。 俺は…。」

歌子「何? ちゃんと言って。 言ってくれないと 分からない。」

(停電)

(戸が開く音)

善一「いたぞ~!」

善一「和彦君! アハッ フッ…。 あれ? えっ えっと…。」

歌子「かっ 帰ります!」

和彦「あれ 歌子ちゃん? あっ よかった。 やっぱり ここだった。 うん。 あれ? 歌子ちゃんは 何で先に?」

智「オオタニワタリ。」

和彦「智? えっ…。」

善一「俺は 少し 山で反省してから帰る。」

和彦「反省? えっ 何を? 善一さん!? ちょっと…。」

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