道中
2人「ジャンケンポン!」
暢子「あ~!」
早苗「ハハッ!」
良子「暢子~! 早苗!」
暢子「あっ ネーネー 歌子!」
児童「良子先生 さよなら~!」
児童たち「さよなら~!」
良子「宿題 ちゃんとやってきなさいよ~。」
児童たち「は~い!」
暢子「アキサミヨー。 ネーネーが ちゃんと先生やってる!」
良子「からかわないで。」
歌子「小学校には 良子先生ファンクラブが 出来たっていう うわさは?」
良子「まさかでしょ。」
暢子「え~!」
早苗「すごいね。」
暢子「え~! 本当は?」
良子「ウソ。」
歌子 暢子「本当は?」
良子「ウソ。」
暢子の姉 良子は 高校時代は マドンナと呼ばれ 那覇の短大に進学。 この春から 念願の教師となって 村の小学校で働いています。
暢子の妹 歌子は 今年から高校生。 時々 熱を出してしまうことも 人見知りで 恥ずかしがり屋なことも 子供の頃から 変わっていません。
暢子たちの父 賢三が この世を去って7年。 母の優子は 今 村の共同売店で働いて 一家を支えています。共同売店の善一さんが奥さんに先立たれて 人手不足になり 優子に白羽の矢が立ったにでした。
安室「アガッ。」
優子「あっ…。 取ってあげるさぁ。 ほら。 はい。」
安室「ああ ありがとうねえ。」
優子「腰の具合どんなねぇ? いつでも 畑手伝うから 遠慮なく言ってよ。」
早苗「お父さ~ん ただいま~!」
善一「ああ お帰り。 早苗 早苗。 新しい参考書。 はい。 しっかりやれよ。」
早苗「は~い。 ありがとう!」
暢子「お母ちゃん もう帰れる?」
優子「今日は 棚卸しがあるから忙しくて。」
暢子「え~。」
智「ハイサイ!」
暢子「お~ 智!」
智「おう 暢子。 あっ みんなも。 これ いつもの豆腐です。」
優子「ご苦労さんねぇ。」
安室「ニーニー 待ってたよ。」
砂川とうふ店の息子 智は 高校を卒業して3年。 商売を広げようと 頑張っています。
(電話の呼び鈴)
善一「はい 共同売店です。 えっ 優子さん? タケヒロから。」
暢子「お巡りさんの?」
善一「うん。」
山原西発出所
暢子の兄 賢秀は高校時代 ボクシングとケンカに明け暮れて中退。
何度か 那覇や名護に働きに行きましたが どれも長続きせず 今は 家でゴロゴロしています。
賢秀「あ~! アキサミヨー。」
賢秀「お~! これはこれは やんばるの美人三姉妹!」
暢子「ニーニー。」
良子「いいかげんにしてちょうだい。 今年 何回目ね?」
歌子「痛くない?」
賢秀「だからよ。 ハチに刺されたくらいだな!」
暢子「こんにちは。」
良子「すいませんね。」
タケヒロ「一応 状況を説明すると この近くの岸壁で 3名の若者が 昼間から酔っ払って 釣りをしていたわけですよ。」