良子「(小声で)何してるの?」
智「仕事さ。 良子はデート?」
良子「何 言ってるの。 勉強会の仲間。 ただのつきあい。」
智「気に入らないさ インチキ。」
良子「何が?」
智「家族にウソついて コソコソ着替えて。」
良子「ウソは ついてない。 本当に勉強会の仲間…。」
智「ふ~ん…。」
良子「言わないでよ。」
智「どんなするかな。」
良子「ちょっと!」
智「はいはい。 ごゆっくり。」
良子「はあ…。」
比嘉家
優子「お帰り。」
良子「まだ起きてたの?」
優子「ごはんは?」
良子「ごめん 食べてきた。」
優子「遅くまで ご苦労さんね。」
良子「今月分。 はい。」
優子「いつもありがとう。」
良子「あのね 今月 ちょっと少ないの。 勉強会で いろいろ本とか買ったから。」
優子「うん 分かったよ。 大切に使わせていただきます。」
良子「お母ちゃん。」
優子「うん?」
良子「うち…。 うち ウソついた。」
優子「ウソ?」
良子「今日 本当は フォークダンスの会に行った。 そのために これを…。 だから お母ちゃんには いつものお金 渡せない。」
優子「かわいいね。 楽しかった?」
良子「ごめんなさい。」
優子「良子が楽しかったら それが一番。」
良子「うち… 恥ずかしい。」
優子「良子?」
良子「貧しさを恥じた自分が恥ずかしい。 貧しくても 心豊かに暮らせば 幸せに生きられる。 お母ちゃんを見て いつも そう思ってたのに。」
良子「人間は こんなものより弱くない! こんなものに負けたらいけない。 教師のうちが それを信じられなかったら 子供たちに何も教えられない。 ごめんなさい。」
優子「謝らんで いいさぁ。」
良子「ありがとう…。」
優子「大丈夫よ。」