夕食作り
優子「暢子 今日は うちが作るよ。」
暢子「うちがやる。」
(包丁で食材を切る音)
賢秀「暢子 ごはん まだ?」
優子「やっぱり 今日は うちがやるよ。」
暢子「うちがやる。」
賢秀「はあ…。 俺は もう 腹が減って死にそうなわけさー。」
良子「ニーニー 暢子の気持ちも考えて。 考えてるさぁ。 東京 行きたかったんだろ? 俺が悪かった。 謝るから ごはん作って。」
良子「ニーニー いいかげんにして!」
(包丁で食材を切る音)
暢子「ありえん…。 早苗とか みんなに言ったのに どうすればいいわけ? 絶対 ありえん…。」
賢秀「だからよ。 明日は明日の風が吹くって。 ねっ 暢子ちゃん。」
暢子「ぽってかす!」
賢秀「だからよ。」
暢子「ぽってかす!」
賢秀「落ち着け!」
暢子「ぽってかす! ぽってかす!」
賢秀「だからよ。」
暢子「ぽってかす!」
賢秀「おい! 暢子…。」
夜
賢秀「暢子 起きてるか? ごめんな。 本当に ごめん。 俺は ただ うれしかったわけよ。 生まれて初めて 親以外の大人から 褒められて。 うれしかったわけよ。」
賢秀「今まで ずっと ウソつきとか ろくでなしって言われてきて…。 初めて褒めてくれた人を 信じたかった。 この人を信じて 俺を バカにした大人たちを 見返してやりたかった。 分かってくれんか? 暢子 起きてるか?」
暢子「もう 寝てるから。」
賢秀「そうか…。」
翌朝
優子「大変になってる。」
暢子「どうしたわけ?」
優子「賢秀が 出ていってしまったさぁ。」
暢子「まさかやー。」
良子「夜には また おなかすかせて 帰ってくるよ。」
優子「当分 帰らんつもりだはず。」
歌子「何で 分かる?」
優子「あれがない。 あの…。」
歌子「マグネット・オーロラ・スーパーバンド!」
優子「うん。」