比嘉家
賢吉「つまり もう一度 銀行から金を借り直し 全額 ボクシングジムの返済に充てる。 その保証人になってくれって?」
優子「本当に ご迷惑をおかけして 申し訳ありません。」
賢吉「良子 お前 いくつになった?」
良子「21です。」
賢吉「見合いしれ。 財産持ちの家との縁談を探してやる。」
金吾「失礼いたします。」
良子「何で?」
賢吉「社長 アイヤー! どうしたんです? お久しぶりです。 いつも お世話になっております。 何事です? まさか! 社長も この家に 金貸してるんですか?」
銀蔵「いや 今日は息子と ちょこっと ご挨拶に。」
賢吉「ご挨拶?」
銀蔵「ほら 金吾 改めて 皆さんに。」
金吾「良子さん お母さん 歌子ちゃん。 僕の父 喜納製糖工業株式会社 社長の 喜納銀蔵です。」
銀蔵「そうじゃなくて。『今度 善一さんから 正式な話が来ると思うんで その時には ひとつ よろしくお願いします』。 ああっ アキサミヨー。 お父さん 全部 説明してしまったじゃないか。」
優子「善一さんから?」
賢吉「正式な話?」
銀蔵「いや それはね また 善一さんから。」
金吾「お母さん! 良子さんを僕に下さい!」
良子「なっ…!」
金吾「良子さんとの結婚を 許してください!」
良子「何で 急にそんな話に。」
賢吉「本当ですか!?」
銀蔵「お前が 今 そこまで言ってしまったら 仲人をお願いした 善一さんの立場がなくなるじゃないか!」
金吾「必ず 幸せにします! 世界一周の 新婚旅行に行きましょう! お母さんや 歌子ちゃんのことも 自分の家族だと思って 大事にします! だから あの…。」
銀蔵「もういい!」
金吾「だから…。」
銀蔵「やめろ! とにかく 善一さんから 正式なお話が来ると思うので その時は ひとつ よろしく。 どうぞ お納めください。」
金吾「あの…。」
銀蔵「いいんだよ 金吾! ほら 金吾…。」
金吾「良子さん 人生に大切なものは ラブとピース! またね また来るよ…。」
良子「ありえん。 お母ちゃん 分かってると思うけど 今の話は…。」
賢吉「『渡りに船』『棚から牡丹餅』! こんないい話 なかなかないよ! 火野車から抜け出す 最後のチャンス!」
良子「おじさん…。」
賢吉「すぐ 決めれ。 金吾君 ああ いやいや… 社長さんの気持ちが変わらんうちに 結婚せ。」
良子「だけど…。」
賢吉「いるのか? ほかに 結婚を約束した男が。」
回想
石川「だから良子 俺と…。 け…。 沖縄の子供たちの未来を 一緒に 真剣に考えよう。」
回想終了
良子「今は まだ…。」
賢吉「なら 問題ない! いいか 良子。 結婚は 昔から 家と家のもの。 家族のために 豊かな家に嫁ぐの 悪いことじゃない。 とにかく 俺は 善一さんの所に行ってくる!」
優子「おじさん! はあ…。 良子 おじさんは あんな言ってるけど 仕事もあるし 何より 良子の気持ちが 一番大事だからね。」
良子「分かってる。 大丈夫。 ちゃんと考えて決めるから。」