オーナー室
房子「今日限り クビ。」
暢子「クビ!? 待ってください! 理由を聞かせてください。」
房子「あなたは この店で働く資格がない。」
暢子「イタリアの地図のことは これから ちゃんと。 それとも ウチナーグチが 抜けないからですか?」
房子「沖縄の言葉を使うのは 個性として尊重する。 だけど 時と場合をわきまえた会話 言葉遣いができなきゃ 客商売は やっていけない。 あなた この店に来て何年?」
暢子「もうすぐ 2年です。」
房子「今から言う条件をのめば クビは撤回してあげる。 東洋新聞で ボーヤさんをしてきなさい。」
暢子「ボーヤさん?」
二ツ橋「雑用のアルバイトのことを 東洋新聞では ボーヤさんと呼ぶんです。」
房子「ボーヤさんとして ある程度の評価が得られれば この店に戻してあげる。」
暢子「ありえん。」
房子「嫌なら 即クビ。 私の命令は 絶対。 別の店に行くなり 沖縄に帰るなり 好きにすれば?」
東洋新聞
学芸部
野中「ボーヤさん さっき頼んだファイル 早く持ってきて!」
暢子「はい!」
竹園「ボーヤさん これ 仕分けしておいて。」
暢子「はい。」
田良島「ボーヤさ~ん。」
暢子「はい。」
田良島「え~っと 比嘉さんだっけ? 沖縄の名前だな。」
暢子「は… はい! あっ え~っと…。」
田良島「田良島 田良島甚内。 一応 デスク。 あ~ デスクって言っても分かんないよな(デスクをたたく音)机じゃないよ。 一応 人間。 でも 人間扱いされないことも 多いな この会社。 この原稿 政治部の小林さんに。」
暢子「あっ はい あっ ん? 政治部?」
田良島「その扉から出て 2つ目の右に曲がると階段。 上から3段目 滑るから気を付ける。 2つ上がって右『政治部』って入口に書いてある。 大至急。」
暢子「あっ はい。」
どうする 暢子!?
暢子「何で うちが…。」