連続テレビ小説「ちむどんどん」43話「てびち!てびち!てびち!!」

おでん屋台

ヨシ「ふ~ん。 イタリア風のおでんねぇ。」

暢子「最初の何日かは すごく売れて 評判もよかったんですけど すぐに お客さんが 来なくなってしまって。」

三郎「ちょいと いいかい?」

暢子「あっ 三郎さん!」

三郎「気になって のぞきに来たよ。」

ヨシ「若社長!」

三郎「おお ヨシさん!」

ヨシ「アッと驚く為五郎!」

暢子「えっ 知り合いなんですか?」

ヨシ「何十年ぶりの再会だろうね。 まだ この辺りが闇市だった頃 仕事を 世話してもらったことが あるんだよ。」

暢子「そんな昔に? ん? ヨシさんもウチナーンチュ?」

ヨシ「いや あたしゃ 親の代から鶴見だよ。」

三郎「ウチナーンチュじゃなくても 同じ鶴見の仲間。 縁がありゃ お互い助け合うのが 人の道だ。」

ヨシ「あっ ほれ。 若社長にサービス サービス!」

暢子「あっ はい!」

ヨシ「はい 座って 座って。」

三郎「ああ ありがとよ。」

三郎「なるほど イタリア風か。」

暢子「どうですか?」

三郎「うまい。 新しい味ってことは 間違いねえ。 だけど 毎日食べたい味かっていうと…。」

暢子「あ~ そこなんです。 食べてくれたお客さんも続けて来てくれない。 だけど これ以上 どんな手を打てばいいのか 分からなくて 迷子になってるんです。」

三郎「入り口に戻るしかねえな。」

暢子「入り口?」

三郎「迷子になった時は 一回 入り口に戻る。 料理のことは よく分かんねえが それが 人生の基本だ。」

ヨシ「さすが 若社長。 うまいこと言うねえ。」

暢子「入り口って言われても…。 もう… 何が正解か 分からなくて。 正直 ハードル上げ過ぎだと思います。」

三郎「ハードル?」

暢子「うちのオーナーですよ。 親戚だと知った時は うちのために 厳しく言ってくれてると思ったけど 新聞社の次は おでん。 次から次に 意地悪ばっかり。」

ヨシ「意地悪?」

暢子「一回 自分で 屋台をやってみればいいんですよ。 いつも 偉そうに命令ばっかり。『私の命令は 絶対 質問も口答えも 許さない』。 ただの意地悪にしか思えん!」

ヨシ「いいかげんにしな! 房子さんの悪口は あたしの前で言うのは 許さないよ! 絶対に許さない!」

暢子「だ… だけど…。」

三郎「まあ 知らねえものはしょうがねえがな 暢子ちゃんな。」

暢子「ん?」

三郎「あのひと 屋台から身を起こしたんだよ。」

暢子「えっ? うちのオーナーが?」

レストラン・フォンターナ
オーナー室

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