比嘉家
入口
歌子「いいね あんたは そこで咲けるから。」
上原「比嘉賢三のうちか?」
居間
歌子「あの お父ちゃんとは どういう…?」
上原「賢三が 民謡歌手に なろうとしてた頃 唄を教えた。」
歌子「お父ちゃんが 歌手に?」
(三線の音)
♬~(三線)
♬『月ぬ美しゃ 十日三日 美童美しゃ 十七 ホーイチョーガ 東から あーりおーる 大月ぬ夜 沖縄ん八重山ん照らしょうり ホーイチョーガ』
回想
賢三「歌子 幸せになれよ。」
回想終了
♬『寺(てぃら)ぬ符札(ふーふだ)んが』
回想
下地「あなたは 歌い続ける。 聴く人が たった一人でも。 どんな歌でもいい。 あなたが その時 歌いたい歌でいい。」
回想終了
♬『ホーイチョーガ』
夜
優子「上原さんが わざわざ来てくれたの?」
歌子「今日中に 那覇に戻るって。 お父ちゃんは 昔 民謡歌手になるのが夢だったの?」
良子「お父ちゃんが 民謡歌手?」
優子「であるねぇ。」
良子「しんけん?」
歌子「うち… なりたい。」
良子「えっ?」
優子「歌子?」
歌子「何年かかってもいいから うちは 民謡歌手になりたい! 上原さんから 名護にある 三線の教室を教えてもらったわけ。 行ってもいい?」
良子「どうしたわけ? 急に。」
歌子「お願い! 小さくてもいいから うちだけの夢を 追いかけてみたい。 こんな気持ち 初めてだのに。 やってみたいわけ。 歌いたいわけ。 お願いします!」
優子「歌子は 歌子がやりたいように 思いっきりやればいい。」
良子「分かった。 うちも大賛成!」
歌子「ありがとう。」