比嘉家
暢子「食べよう。 頂きます。」
石川「やっとの思いでカレー作って 出来上がったから 食べようと思ったら 肝心のごはんを 焚き忘れていたわけ。 晴海に さんざん 笑われてしまったさー。」
良子「…。」
石川「どうした？」
良子「ずっと考えてた。 うちは 博夫さんのことが好きで 今でも ずっと大切な人なわけ。 だから 絶対に諦めない。 いつか また 必ず３人で暮らしたい。 博夫さんと 晴海が うちにとっての 掛けがえのない家族だから。」
石川「うん。 バナナ 皮むこうか？」
良子「うん。」
名護中央公民館
長峰「今日から また 新しい仲間が増えました。 ハハハッ…。」
（拍手）
歌子「比嘉歌子です。 父の大好きだった 沖縄の民謡を 歌えるようになりたくて来ました。 どうぞ よろしくお願いします。」
「チバリヨー！」
「よろしくね！」
「平均年齢が下がって よかったねぇ。」
（拍手と笑い声）
比嘉家
暢子「明日 東京に帰ります。」
房子「分かりました。 帰ってきたら いっぱい働いてもらいます。」
暢子「あの… オーナーは どうした 嘉手刈さんという人に 寄付されてるんですか？ どうして 知ったんですか？」
房子「あなたの お母さんが教えてくれた。」
暢子「いつ…？」
房子「あなたのお父さんが死んだと聞いた時 私は 賢三と仲たがいしたままだた。 それを とても後悔した。 それで 子供を 一人引き取りますと申し出たの。」
暢子「うちが… 行こうとしていました。」
房子「優子さんから『それはお断りします』という 丁寧な手紙が届いた。 その中に 遺骨収集を 手伝っているということが 書いてあった。」
暢子「それで オーナーも寄付を…。」
レストラン・フォンターナ
オーナー室
房子「それより。」
暢子「はい？」
房子「青柳和彦さん どうするの？」
暢子「あ…。 それは… うちは もっと仕事がしたいです。 恋愛とか 結婚は…。」
房子「両方つかみなさい。」
暢子「両方？」
房子「仕事も 結婚も。 つかみたくても つかめなかった人たちの分まで あなたは 全部つかみなさい。 諦めたら 許さないから。 分かった？ 命令は 絶対だからね。」
海
和彦「暢子。」
暢子「和彦君？ どうして？」
和彦「会いに来た。 何でだか ここで会える気がして。 急な取材で 昨日から沖縄に。」
暢子「あっ 仕事？」
和彦「あっ 違う？ いや 仕事もあったんだけど…。 実は 昨日 嘉手刈さんという人に 話を聞いた。 ほら いつか話した 沖縄戦の遺骨収集をしてる。」
暢子「まさかやー。 じゃあ うちのお母ちゃんにも会った？」
和彦「えっ 知ってんの？」
暢子「嘉手刈さんに うちも いつか会ってみたい。 どんな話を聞いたわけ？」
和彦「嘉手刈さんは 沖縄戦で ガマからガマへと逃げた。 子供がいなかったから 奥さんと二人で。 途中 山の中で 小さな女の子と 一緒になった。 親と死に別れたらしかった。」
和彦「かわいそうで 何日か その子と 一緒に逃げていた。 でも ある時 激しい艦砲射撃に襲われて 何も見えなくなって。 怖くて 無我夢中で逃げて…。 握っていたはずの その女の子の手を 気が付いたら 離してしまっていたって。」
回想
嘉手刈「はぐれる前に わしは その子に言ったわけさ。『もし 逃げ延びることができたら うちの子にならないか』って。 そしたら その時 近くによ 砲弾 艦砲バーンみかして落ちてさ。 バンナイ バンナイ 飛んでくるわけよ。」
嘉手刈「あ～ もう わしは もう 逃げるので精いっぱい。 も～ 辺りは 土煙と う～… 何も見えない。 で 気が付いたら 女の子が いないわけさ。 知らん間に その女の子の手 離してしまったわけさ…。 うん…。」
回想終了