(ドアが開く音)
客「おいコラ! どうしてくれんだよ。」
山辺「えっ?」
客「どうなってんだ この店は? なんとか言え コラ!」
二ツ橋「お客様 どうされました?」
客「クギだよ クギ。 トイレの壁から このクギが 引っ掛けて敗れちまった。 弁償だ 弁償! オーナー呼べ。 オーナー!」
二ツ橋「恐れ入ります 当店のトイレの壁にはクギなど…。」
客「おい コラ。 連れがウソついてるって言いてえのか? 皆さん この店は 客を ウソつき呼ばわりする最低の店ですよ!」
客「とんでもない店ですね!」
(騒ぎ声)
房子「私が この店のオーナーでございます。 お客様 おケガはございませんか?」
客「これ見ろよ これ。 どうしてくれるんだよ。」
房子「後日 御召し物の修理代を お送りいたしますので ご住所と ご連絡先を 伺わせてください。」
客「仲間連れて戻ってくるからよ 首洗って待ってろよ。」
(ドアベル)
二ツ橋「お客様… お待ちください。 お客様。」
「お会計 お願いします。」
二ツ橋「その まだ…。」
房子「皆様 お騒がせして 申し訳ございません。」
暢子「申し訳ございません。 申し訳ございません。」
房子「本日のいお代は 結構でございます。 申し訳ございません。 お騒がせいたしました。」
和彦「母さん ちょっと…。 申し訳ございません。」
暢子「申し訳ございません。 あっ でも まだ料理が…。」
重子「『類は友を呼ぶ』。 品のないお店は 品のないお客が出入りするの。」
和彦「ごめん。」
二ツ橋「申し訳ございません…。」
房子「申し訳ございませんでした。」
和彦「すいません…。」
房子「申し訳ございません。」
和彦「母さん!」