遥「へえ 上村先生の子か… かわいい。」
恵里「あ どうも。」
遥「あ!」
恵里「え?」
遥「ひょっとして…。」
恵里「『ひょっとして』?」
遥「心配で 見にきたとか? 私とのことで。」
恵里「何 言ってるんですか? 私は そんな…。」
遥「へえ。」
恵里「何ですか? いや 私はですね この子の検診で 病院に来たので。」
遥「ふ~ん。」
恵里「何ですか?」
遥「なんか うれしいな。」
恵里「は?」
遥「いや 上村にね… ごめんなさい。 上村先生が 外科に来た時に『彼女 何か言ってた? 気にしてた?』って 聞いたら『いや 別に』とか言ってて 私としては なんか 心外だった。」
恵里「は?」
遥「普通 昔 つきあってた女がいる 職場に 自分の彼とか ダンナさんが 行くのって やっぱり なんか 嫌だよね 普通は。 あなたも 普通の女の子だったんだ よかった よかった。 うん 私も なんか 認められてる気がして うれしい。」
恵里「はぁ。」
遥「で 知りたい? 私と上村先生が 今 どうなっているのか。」
恵里「いや そんな 私は別に。」
遥「フフフ 安心しなさい。 もう 全然 ダメ 上村先生は。」
恵里「え? 全然ダメって どういう…。」
遥「仕事のことじゃないわよ 男として…。」
恵里「『男として』?」
遥「もう デレデレなんだもん。 定期入れに 子供の写真 いれちゃってさぁ。」
恵里「は?」
遥「それは 皆に 見せて回ってるの。 もう 最低。 全然 ダメ! ガッカリしたわ。 もっと クールな男かと思ってたのに。」
恵里「はぁ…。」
遥「でも 頑張ってるわよ。 上村先生 必死で 頑張ってる。」
恵里「そうですか…。」
遥「うん 頑張ってる。 じゃあね。」
恵里「はい。 あ あの。」
遥「ん?」
恵里「私が 来たことは できれば ないしょに。」
遥「どうしようかな? 考えとく じゃあね ばいばい。」
やっぱり 何もなかったねぇ お騒がせしましたねぇ 本当に。 でも ちょっと やきもち焼いている恵里もかわいかたねぇ
病室
遥「失礼します 頑張ってね お父さん。」
文也「え?」
ナースステーション
恵里「どうも…。」
奈々子「あ~!
恵里「どうも…。」
奈々子「かわいい~。 お~い 和也 大人になったら 結婚しようね。」
恵里「え~!」
祥子「こんにちは 和也君。」
恵里「かわいいでしょう。」
奈々子「どうしたの? 今日は。」
恵里「3か月検診だったんです。」
奈々子「あ そっか。」
恵里「忙しそうですね。」
奈々子「うん まあね。 今度の婦長は なかなか 強力よ。 ね。」
祥子「はい そうですよね。」
恵里「え? 強力? 下柳さんよりも…?」
奈々子「うん 手ごわいわよ。」
恵里「へえ…。」
奈々子「ああ 今は いないけどね。」
恵里「そうなんですか?」
看護婦2「山本さんの処置 始めます。」
奈々子「はい! あ 中町さん。 挿管の準備は?」
祥子「はい 出来てます。 挿管チューブは 7.5ミリで いいですよね。」
奈々子「そうね。 じゃあね 和也君。 またね。」
恵里「どうも。」
祥子「和也君 またね。 今度 遊びに行くね。」
恵里「うん。」
恵里は 少し 不安になりました。 あと半年以上も 仕事休んで そして 和也もいて 自分は また この仕事の中に 戻れるのかと 不安になりました
恵里「ま なんくるないさ。 ねえ 和也。」
そう なんくるないさ 恵里 子育ては ずっと 続くからね
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